稀代の奇盤とうたわれるジャーマン阿呆サイケ・アルバム、ZWEISTEINの『TRIP-FLIP OUT-MEDITATION』を聴きました。日本盤CDはキャプテントリップからのリリース。
ユングの下で学んだ心理学者の父と舞台俳優の母を持つ元アイドル歌手スザンヌ・ドゥーシェが妹ダイアンと一緒にLSDをキメて録ったフィールド・レコーディングのカットアップ作品だそうで。1枚目はまだ音楽していますが、2枚目以降はトッポジージョみたいに回転数を上げた子供がチューリップを歌ったり、電車の音や遊園地の音などをコラージュしたりのアシッドでクルクルパーな作品になります。
正直これは素直に”良い!”と言える代物ではないんじゃないかと思います。なんじゃこりゃ?とケムに巻かれ、呆れかえることで、忘我の境地に至ることが出来ると言えましょうか。
しかし何故1970年当時、大手レコード会社のPhilipsがこうまで凝りまくった変形4重ゲートフォルド・ジャケでこんな内容のアルバムを出したのか?そして何故キャプテントリップがそれを忠実に再現してシングル・トラックまでを追加収録した3枚組CDを出してしまったのか?そして何故大枚はたいてそんなものを買ってしまい、しみじみと聴かねばならないのか?…人生は疑問の連続です。
疑問と矛盾に満ちた浮世からあっちの世界に旅立つには最適のアルバムというか、全編聴き終わって、とにかく無常観と虚脱感でヘラヘラ笑うのみです。