ボブ・ディランのZepp Tokyo7連戦の6公演目に行ってきました。
僕とディランの音楽との出逢いは小学校低学年、アムステルダムの学校に通っていた頃で、音楽の授業の合唱で「Blowin’ In The Wind」を歌うというものでした。なんでも音楽の教師がかつてディランのガールフレンドだったのだそうです。単にヤラレただけかも知れませんが、今から思えば同じ学校に通っていた息子の髪の毛がモジャモジャでした。まさか?
でもそれからずっとディランとは縁がなく、高校生のときに図書館で『THE FREEWHEELIN’ BOB DYLAN』と『BLONDE ON BLONDE』を借りて聴いたものの、全然ハマりませんでした。カセットにすら録りませんでした。
そして数年が経ち、お勉強のために1枚ぐらいCDを押さえておこうと思って買ったのがこれ:
バッタ屋CDです。秋葉原のワゴンで480円だかで買いました。ちなみにTHE BEATLESのCDはユニオンジャックジャケのやつで揃えました。
はてまた数年が経ち、プロの音楽ライターになったということで、一応ディランは押さえておかねばなるまい、しかもベスト選曲でラッキィ!というわけで『MTV UNPLUGGED』(95)を聴きました。これがすごく良かったので1997年2月11日の来日公演に行ったら、意外にヒット曲をいっぱい演って、アンコールではギャルを何人もステージに上げて踊らせていました。
さらに久しぶりの新作スタジオ・アルバム『TIME OUT OF MIND』(97)がまた素晴らしく、続く『LOVE AND THEFT』(01)もジャケットはペテン師顔どアップの海賊盤以下でしたが中身は極上。その間に過去作を遡って『ブートレグ・シリーズ』もちょびちょび押さえて、ディランのルーツな曲がいっぱい入っている『ANTHOLOGY OF AMERICAN FOLK MUSIC』も聴いたりしたのでした。全曲カヴァーの『GOOD AS I BEEN TO YOU』(92)とか『WORLD GONE WRONG』(93)を聴いて、そうかそうだったのか!と第三の眼が開いたりもしました。
そうして暗黒星アメリカーナが肌になじんだせいか、『MODERN TIMES』(06)のディストピアン・ブルースに青く籠絡されて、2006年の年間ベスト・アルバム1位に推しました。今でもディランのアルバムでは『TIME OUT OF MIND』と『MODERN TIMES』が一番好きです。昔より最近の声質と歌い回しの方が良いです。でもまだオリジナル・アルバムで聴いていないのが何枚かあります。90年代後半の復活以降の作品では最新作『TOGETHER THROUGH TIME』(09)が僕的には一番イマイチなのですが、その理由を述べるには、もう少し自分の魂を探求しなければならないようです。
ジャニーズJrさんによると「ボブのファンを名乗るんだったら、重ねたら自分の背の高さ以上になるぐらいCDを持ってなきゃウンコよん」とのことで、我が家ではCDのジュエルケースは捨ててしまうので正確な高さは判りませんが、ゆっくりと自分の身長に近づいてきた気がします。
ところで今日、アンコール最後の曲は「Blowin’ In The Wind」でしたが、何十年も聴かれ続けた代表曲のひとつだというのに、あまりにメロディを崩しているので観客が一緒に歌えないというのも、さすがディランだと思いました。
あとTHIN LIZZYの「A Night In The Life Of A Blues Singer」(ギターはゲイリー・ムーア)はディランの「Ballad Of A Thin Man」(今日のライヴ本編ラストだった)のパクリっぽいので、全THIN LIZZYファンと全ゲイリー・ムーア・ファンは『HIGHWAY 61 REVISITED』を聴くように。