山上たつひこ:中春こまわり君

山上たつひこ『中春こまわり君』単行本、遂に出ましたね。

2004~08年、ビッグコミック誌に何度か短期集中連載されていたエピソードをまとめたもの。普段ビッグコミックは読んでいないので、初めて読む回もありました。

かつての登場人物たちが社会人となり平凡な日常生活に埋没していくというのは『劇画・オバQ』にも通じるものがありますが、すっかり地味なサラリーマンとなったこまわり君、かつての秀才ぶりが影を潜めて同じ会社で机を並べる西城君、バツ2となったジュンちゃん、すっかり老けたとーちゃんかーちゃんなど、切なすぎます。ストーリーも落ち着いたものとなり、宴が終わった後の寂寞感でいっぱいです。

ギャグも抑えが効いたものが多く、とても面白いのですが、本作の中では動きを伴うギャグの『光る風』セルフ・パロディ(というかアシを務めた人たちが焚き付けたんだろうけど)がすべっているのは、現在の山上に”あの日々”を求めるのは酷かとも思い、ちょっと寂しくなりました。

もちろんそんな昭和『がきデカ』とのコントラストが効果的で、単なる続編ではない21世紀の『がきデカ』像を創りだしているのですが。今なおクリエイティヴであり続ける山上、さすが天才です。

また、『劇画・オバQ』は輝ける少年時代が戻らないという残酷な事実を突きつけて終わるのに対し、42歳となったこまわり君が痛風を患い、病院であべ先生と再会する『痛い風』ラストは懐かしさを肯定していて、大人になりそびれた自分としては救われました。

いつの日か、『がきデカファイナル』で旅に出たこまわり君が帰ってきて、就職するまでの空白の時期も描いて欲しいです。うしろすがたのしぐれてゆくか。

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スキャナCanoScan LiDE200を購入しました。2001年1月以来CanoScan N1220Uを使っていたのですが、Classic環境が使えなくなったので。

投稿者:

yamazaki666

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