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KYUSS / QUEENS OF THE STONE AGE
KYUSS / QUEENS OF THE STONE AGE

→KYUSSの項を参照のこと。


QUEENS OF THE STONE AGE
QUEENS OF THE STONE AGE
(1998 / Loosegroove LG0021-2、Man's Ruin MR151)
desert / chemical

元KYUSSのギタリスト、ジョシュ・ホームが結成した新バンドの初フルレンス・アルバム(それ以前にGAMMA RAY名義の7"、コンピ『BURN ONE UP!』への曲提供が有)。
KYUSSと較べて音楽性はソリッドになった一方で、ヘヴィでありながらじわじわと侵食していくギター・サウンドは健在。GAMMA RAY名義の7"でリリースした「If Only」、DESERT SESSIONSでもレコーディングしている「Avon」の再録など、優れた曲が多い。曲を聴かせる前半に対し、後半でKYUSSを思わせるジャム的要素の強いナンバーが聴かれるのも嬉しい。
ジョシュ自らのヴォーカルはやや線が細く、KYUSSのジョン・ガルシアと較べると今ひとつだが、楽曲の良さがアルバムを救っている。
なおLPはCDとジャケ違い。3,000枚プレスのうち300枚がイエロー、200枚がグリーンビニール。残る2,500枚は黒盤だった。
本作リリース後ニック・オリヴィエリ(b)が加入、ジョシュ、アルフレド・ヘルナンデス(ds)と、3人全員が元KYUSSのメンバーとなった。彼らはearthlings?のデイヴ・キャッチングをサポート・ギタリストに迎え、精力的にツアー活動を行っている。

(99/03/04)
★★★★★ ★★★★


QUEENS OF THE STONE AGE / BEAVER
THE SPLIT CD
(1998 / Man's Ruin MR141)
desert / groove / psychedelic

2バンドが2曲ずつ提供した、ジャム色が濃いスプリットEP。
QUEENSは17分で録られたとクレジットされているのも納得のラフなレコーディング。「The Bronze」はそこそこ良い曲だが、「These Aren't The Droids You're Looking For」(オビ・ワン・ケノービの科白から取られたタイトル)はインプロヴィゼーション風のジャム。遊びっぽい雰囲気で、さほどスリルは感じない。
一方のBEAVERは2曲ともデモ音源っぽいラフなアレンジの新曲。クセのあるヴォーカルが抑えられ、さりげない歌い方になっているため、耳に抵抗を感じることなくさらりと聴けてしまう。
BEAVERの方がちゃんとした楽曲を提供しているぶん楽しめるが、両バンドとも実力の片鱗は窺わせている。ただ、彼らの真の力量を知りたければオリジナル・アルバムを聴いて欲しい。

(99/06/30)
★★★★★ ★★


QUEENS OF THE STONE AGE
RATED R
(2000 / Interscope 069490683-2)
desert / chemical / pop / strange etc.

"ストーナー・ロック"の歴史を変えた奇跡の名盤。
"90年代ストーナー"を確立させたのがKYUSSならば、それを2000年に進化させたのも元KYUSSのジョシュ・ホームとニック・オリヴェリだった。
これだけのキメまくりサウンドなのにどの曲も完成度が高く、ヒット性すら感じさせる。KYUSSのヘヴィなギター、earthlings?のストレンジさ、WEENのヒネリを効かせたポップ・サウンドを融合させながら強烈なオリジナリティを主張しているのも凄い。
前作リリース後にニック・オリヴェリが加入したことが大きな影響を及ぼしており、ソングライティングに全面的に関わっている一方、約半数の曲でリード・ヴォーカルも取っている。どこか線の細いジョシュと較べて、パンキッシュなキレっぷりのニックの声はアルバムをさらにパワフルなものにしている。
1曲目から「Nicotine Valium Vicodin Marijuana Ecstacy and Alcohol、c-c-c-Coke」とドラッグの名前を連呼する「Feel Good Hit Of The Summer」は驚くほどキャッチーで、歌わずにいられない。なおこの曲にはたまたま同じスタジオにいたロブ・ハルフォードがゲスト参加、バック・ヴォーカルを歌っている(彼はあまりストーナーは好きではないそうだが)。
前作の「Avon」に続いてDESERT SESSIONSでプレイした「Monsters In The Parasol」を再演。
また、ニックがKYUSS脱退後に結成したMONDO GENERATORのナンバー「Tension Head」もリメイクされている。
ジーン・トラウトマンのドラムス、クリス・ゴスのプロデュース、デイヴ・キャッチングのキーボードも磐石のバックアップぶり。SCREAMING TREESのマーク・ラネガンも3曲に参加(ジョシュはSCREAMING TREESのセカンド・ギタリストとして何度かツアーに同行している)。
2000年のベスト・ロック・アルバムの1枚でもある一大傑作だ。
日本盤CD(ユニバーサル UICS1005)には「Ode To Clarissa」が追加収録された。オールド・ロック風の佳曲だが、これ1曲のためにわざわざ日本盤を買うほどではない。
2000年11月にアメリカ、ヨーロッパでアナログ盤がリリースされた。こちらはタイトルが『RATED X』と改題されており、日本盤同様「Ode To Clarissa」を追加収録、見開きジャケットの内側にはポルノ雑誌から取ったとおぼしき写真がコラージュされている。大事な部分は写されていないものの、1枚アナルが写っている。

(00/08/02)
★★★★★ ★★★★★


QUEENS OF THE STONE AGE
THE LOST ART OF KEEPING A SECRET
(2000 / Interscope 4種類リリース)
desert / chemical / pop / strange etc.

アルバム『RATED R』からのシングル・カット(ヨーロッパ市場向け)。全英チャートTOP20入りを果たした。
7"とCDシングル3種類がリリースされている。

1) 7"(497-387-7):アルバム未収録曲「Ode To Clarissa」とのカップリング。
2) CD1 of 2CD Set(497-391-2):GAMMA RAY名義のデビュー7"に収録されていた「Born To Hula」ニュー・ヴァージョン(かなりアレンジが異なる)、「The Lost Art Of〜」ビデオクリップCD-ROM収録。
3) CD 2 of 2CD Set(497-392-2):「Ode To Clarissa」、「Monsters In The Parasol (recorded live in Seattle)」収録。1週間のみの限定リリースらしい。
4)ドイツ仕様CDシングル(497-410-2):「Ode To Clarissa」とのカップリング。

すべての音源を揃えるには(2)(3)を入手すれば良いが、ジャケット違いの(4)も捨て難い。

(00/10/04)
★★★★★ ★★★


THE QUILL
THE QUILL
(1995 / Megarock MRRCD023)
Zep / 70s

スウェーデンの70年代スタイル・バンドのファースト・アルバム(QUIL名義でアルバム1枚とシングル2枚をリリース後、改名してのデビュー作)。
LED ZEPPELINに通じる分厚いグルーヴ・リフ、クリス・コーネル(SOUNDGARDEN)やロバート・プラントを思わせるマグナス・エクウォルのヴォーカルがスケールの大きなヴィンテージ・ハード・ロック・サウンドを出している。いずれの楽曲も完成度が高く、メロディもしっかりしており、"通常の"メタル・ファンにも取っ付きやすいだろう。
ただ一昔前のLED ZEPPELINクローンっぽいサウンドが鼻につくところもあるのが難。既にやり尽くされた手法のため次の展開が容易に読めるし、またGREAT WHITEのような底の浅い模倣が楽曲全体を台無しにしているところもある。但しこの欠点を補って余りある気合いが漲っており、聴いていて思わず拳を握りしめてしまう。
2000年2月に『MeteorCity』レーベルからリリースされたアメリカ盤(MCY-008)はオリジナル盤の1曲目「Jet Of Water」(「The Song Remains The Same」風のナンバー)「Gleam」をカットし、代わりに「A Sinner's Fame」を収録。さらに曲順を入れ換え、グルーヴ主体の曲を前半に持ってきたことで、より"ストーナー"っぽい印象を受ける仕上がりになっている。
ネタバレ:『MeteorCity』盤にはシークレット・トラックとして「I Lost A World Today」のライヴ・ヴァージョンが収録されている。

(00/03/02)
★★★★★ ★★★


THE QUILL
SILVER HAZE
(1999 / Roxon RX9651.2)
Sabbath / Zep / doom / oldschool

LED ZEPPELINに加えBLACK SABBATHからの影響が顕著に見受けられ、ドゥーム色が強まった2nd。楽曲もクローンぶりは薄れ、かなりグレードアップしている。
但しいただけないのが「Stirring Times Ahead」におけるLED ZEPPELINコピー。またラスト「Rockets Collide」がまんまBLACK SABBATHの「Planet Caravan」なのも気になる。ヘヴィなナンバーに引き込ませる魅力があるだけに、ソフトな曲におけるオリジナリティの欠如が残念だ。
ただ、そんなマイナス点を考慮に入れても本作が上質のヘヴィ・ロック作品であることには変わりない。

(99/06/05)
★★★★★ ★★★


THE QUILL
EVERMORE
(1999 / Froghouse FROG005)
Sabbath / Zep / doom / oldschool

'99年夏にレイフ・エドリング(CANDLEMASS)の『Froghouse』レーベルからリリースされた青盤10"。
アルバム『SILVER HAZE』収録の「Evermore」をリーダー・トラックに、同作レコーディング・セッション時に録音されたアルバム未収録3曲を加えた4曲入り。アルバムと同題でありながら収録されなかったスケールのでかい「Silver Haze」、BLACK SABBATHのカヴァー「Fairies Wear Boots」など、聴きどころは多い。楽曲の水準はアルバムと同様で、すべてヘヴィな曲で固めているため、ソフトな曲におけるオリジナリティ欠如という弱点は感じられない。
『SILVER HAZE』を未聴の人は味見として本作を聴くことが出来るし、既に聴いていて彼らの音楽にもっと触れたい人にもお薦めできる。佳作〜秀作揃いの『Froghouse』でもベストのひとつ。

(99/12/24)
★★★★★ ★★★