CLUTCH



PITCHFORK
(1991 / Inner Journey Records IJR005)
groove/おやじ

メリーランド州ジャーマンタウンで結成された親父グルーヴ・バンドのデビュー7"。
ニール・ファロン(vo)、ティム・サルト(g)、ダン・メインズ(b)、ジャン・ポール・ガスター(ds)という不動のラインアップ(2003年2月現在)でレコーディングされており、おっさん色は現在より薄い。
例えるならばHELMETを田舎っぽくした感じだろうか。
「Wicker」「Arcadia」「Juggernaut」「Far Country」全4曲ともここでしか聴けない曲なので、彼らの原点を知る上では貴重。
オリジナル7"は激レアだが、1999年にCD化。ただこちらもライヴ会場売り&ネット通販オンリーだったので、現在では入手困難だ。
プレミア価格を払うほどではないまでも、全アルバムを押さえたらぜひチェックしておきたい逸品。

(03/03/01)
★★★★★ ★★★



PASSIVE RESTRAINTS
(1992 / Earache MOSH74)
groove/おやじ

『Earache』からの3曲入りEP。
『PITCHFORK』よりおっさん度がワンランクアップ。
「Passive Restraints」「Impetus」「High Caliber Consecrator」とわずか3曲、13分足らずだが、いずれも濃厚な味なのでオッケー。
特に7分オーバーの「High Caliber Consecrator」は濃い。
廃盤だが、中古盤店では安価で見かけることがあり、さらに1997年にボーナス2曲を加えて『IMPETUS EP』として再発されたので(下記参照)、比較的容易に聴くことが出来る。

(03/03/01)
★★★★★ ★★★



TRANSNATIONAL SPEEDWAY LEAGUE: ANTHEMS, ANECDOTES AND UNDENIABLE TRUTHS
(1993 / East West 7-92281-2)
groove/おやじ

メジャーの『East West』と契約しての初のフルレンス作。
これまでの作品と較べて楽曲にまとまりが感じられ、1曲目「A Shogun Called Marcus」は初期CLUTCHを代表する名曲。
その一方で野放図なところが減少、彼らの持ち味のひとつであるダラダラ感に欠けている。
そのせいで「Heirloom 13」などのスロー・グルーヴ・ナンバーがワリを食っている気も。
ただ同じスロー・チューンでも「Walking In The Great Shing Path Of Monster Trucks」はぶっとくヘヴィなグルーヴと泥臭さが前面に出ており、腰骨をズンと突き上げる。
現在ほどの馬鹿度はなく、"ちゃんとした"アルバムを作ろうという痕跡が窺えるものの、十二分に楽しめる。
「A Shogun Called Marcus」ビデオクリップは当時MTVでもしばしばオンエアされた。

(03/03/01)
★★★★★ ★★★



CLUTCH
(1995 / イーストウェスト AMCY-866)
groove/おやじ

おっさん節が開花した2ndアルバム。
アラビア文字を模したロゴ体と月面を描いたジャケット・アートワークはなかなかスタイリッシュに決めているが、中身は洗練とはほど遠い。
"オルタナティヴ"ブームが一過してレコード会社からのプレッシャーがなくなったせいか、もっさりとした親父ロックを伸び伸びとプレイしている。もちろん必聴。
日本ではどんな売り方をすれば判らなかったのか、「ジャンルを超えた、サウンド・スタイル、変幻自在のニュー・アルバム」という曖昧な帯叩きがまったくアルバムのサウンドを表現していなくて素敵。
やはり"ビール腹ウンコ臭おっさんロック"と呼ぶわけにはいかなかったのだろうか。

(03/03/04)
★★★★★ ★★★★



IMPETUS EP
(1997 / Earache MOSH192CD)
groove/おやじ

1992年リリースの『PASSIVE RESTRAINTS』に「Pile Driver」(元はコンピレーション盤『NAIVE』収録)と「Impetus」(デモ)の2曲をボーナス収録したEP。
現在ではこちらの方が容易に入手できる。
既に『PASSIVE RESTRAINTS』を持っている人がボーナス2曲のために買い直すほどのものではないが、未聴の人だったら押さえておく価値はあり。

(03/03/04)
★★★★★ ★★★



THE ELEPHANT RIDERS
(1998 / ソニ−SRCS8716)
groove/おやじ

デビュー7年、3作目にして最高のおっさんロック・アルバム。
『CLUTCH』の路線をさらに押し進め、アメリカ人にしか出し得ないスケールの大きさとグルーヴ感、ブルージィなリフが気持ちよすぎる。
特に「Ships Of Gold」「The Soapmakers」は名リフ!
前作の『East West』から『ソニー』と、メジャーを渡り歩いているとは思えないおっさんの体臭を思い切り吸い込みたい。
ジャケ裏ではメンバー達が南軍の軍服を着ているが、"政治的な意図、差別的な意図は一切ない"とのこと。
アメリカ盤CDは3曲のシークレット・トラックを1曲ずつ分散してCDに収録していた。よって実際に買って聴いてみるまでどのシークレット・トラックが入っているかは分からない。だが日本盤は3曲すべてを収録。偉い!

(99/01/30)
★★★★★ ★★★★★



JAM ROOM
(1999 / River Road 001)
groove/おやじ

バンドの公式グッズサイトwww.clutchgear.netで独占販売されたアルバム。
当初『MIA』レーベルからリリースされる筈だったが中止となり、自主制作盤として発表された。初回盤ジャケ無し仕様は2,000枚、2ndプレス(ジャケ付き)は3,000枚の限定盤。
ジャケ無し、全35分と、外伝的な位置づけだが、中身は極上。公式作品よりもずっと崩れた、タイトル通りジャム色の濃い演奏が気持ちいい酔いどれアルバムであり、ライヴのオープニング曲となった「Who Wants To Rock?」など押さえておきたい曲が多く収録されている。
ギターやドラムのアナログ感のある鳴りも素晴らしい。
送料込みで$18ドルは決して安くない価格だが、これだけの充実した内容、しかも日本盤リリースがまずあり得ないことを考えると、ぜひゲットしておくべき。
2000年に入って英『Spitfire』レーベルから英国盤CDがリリースされ、普通に店頭で入手できるようになった(SPITCD061)。
本作リリース後にニール・ファロンを除く3人がBAKERTON GROUP名義でEP『SPACE GUITARS』を発表している。

(00/06/09)
★★★★★ ★★★★



PURE ROCK FURY
(2001 / Atlantic 83433-2)
groove/おやじ

『East West』〜『Sony』と渡り歩いた彼らがたどり着いたのは、やはりメジャーの『Atlantic』だった。
5thとなる本アルバムはおっさんロックを貫きながら、やけにテンションが高い。
「American Sleep」「Pure Rock Fury」から怒涛のように畳みかけるサウンドは鼻血が飛び散る勢いだ。
『THE ELEPHANT RIDERS』のもったり度も捨て難いが、本作の勢いも極上!
親父声で「アハァ、アハァ」と唸る「Careful With That Mic...」をラジオ用シングルにしてしまう無謀ぶりも素晴らしい。
本CDじゃ『hyperCD』仕様になっており、パソコンに入れると「Spacegrass」のビデオを見れるサイトにアクセスすることが出来る。但しなんだか臨場感のない映像。
本作リリース後にニール・ファロンはヘンリー・ロリンズ企画のウェスト・メンフィス3ベネフィット・アルバム『RISE ABOVE』(02)に参加、「American Waste」を歌った。

(03/03/04)
★★★★★ ★★★★★



LIVE AT THE GOOGOLPLEX
(2002 / River Road 004)
groove/おやじ

2002年2月〜3月にシカゴ、モントリオール、カンサス・シティで収録されたライヴ作。
スタジオ・アルバム以上に荒っぽく、失神しそうに素敵な親父ロック(ザック・ワイルドをさらに泥酔させたような)を堪能できる。
初期の「Impetus」からこの時点での最新作『PURE ROCK FURY』からの新旧取り混ぜた全13曲を収録。かっこ良すぎて死んでしまう。
当初はバンドの公式サイトのみの通販だったが、2003年に『Megaforce』からヨーロッパでもリリース。
日本の『ビクター』にもオファーがあったが、日本盤は実現しなかった。

(03/03/04)
★★★★★ ★★★★