CHURCH OF MISERY


Vol.1
(1997 / Doom Records DMCD03)
doom/sludge/metal

元SALEMのTatsu Mikamiが中心となって結成されたマーダー・ドゥーム・メタル・バンドの、'96年にレコーディングされたデビュー音源。
SALEMのスラッシュ・メタルから一転して初期BLACK SABBATHを思わせるダークなドゥーム・メタルに変貌。1曲目「Cloud Bed」ではご丁寧に「Black Sabbath」同様の雷鳴と雨音を収録している。
ただ、エッジの効いた鋭角的なサウンドはSABBATH一辺倒でなく、ズキズキと耳障りなリフと腹にくる低音ベースはハードコア風味も。やはりSABBATHとハードコアをルーツに持つSAINT VITUSとかなりアプローチが共通しているかも。
ただ『BORN TOO LATE』などでかなりのアホぶりを発揮しているSAINT VITUSと、邪悪でコアな匂いをかもし出しているCHURCH OF MISERYではかなり感触が異なっている。
とはいえ、後に『MASTER OF BRUTALITY』で完全開花する悪虐非道なサウンドと較べると本作はまだお行儀が良いように感じる。
GUNの「Race With The Devil」のテンポを落とし、ヘヴィかつドゥーミーにカヴァー。彼らの作品に一貫している「1曲カヴァーを入れる」という姿勢は本作で既に確立されている。
なお本作はデモテープを勝手にCD-R化した海賊盤で、バンドは公に『Doom Records』とオーナーのMarsHallを非難している。

(01/03/14)
★★★★★ ★★★


ETERNAL ELYSIUM / CHURCH OF MISERY / MILLARCA / BERENICE
DOOMSDAY RECITATION - DOOM ROCK COMPILATION FROM JPN
(1998 / Cornucopia CRCD-002)
doom/sludge/metal

日本のドゥーム・バンド4組が集まったコンピレーション。
ETERNAL ELYSIUMの岡崎幸人が主宰する『Cornucopia』レーベルからリリースされた。
70年代BLACK SABBATHイズムを継承しながらニューロック的にポジティヴな方向に進んだETERNAL ELYSIUM、より陰惨なスラッジ・ドゥームを聞かせるCHURCH OF MISERYが好コントラストを成しており、MILLARCA、BERENICEもCANDLEMASSタイプのエピック・ドゥーム・メタルをプレイ。4者4様のサウンドを聞かせている。
CHURCH OF MISERYの「Where Evil Dwells (Richard Ramirez)」「Spahn Ranch (Charles Manson)」は歪んだベースが際立ったコアなドゥーム・ナンバー。前者はIRON MONKEYとのスプリット、後者はsHEAVYとのスプリットに再収録された。
ETERNAL ELYSIUMの3曲中「Easygoin'」はライヴ・ハイライトとして知られる曲で、彼らのワールドワイド・デビュー作となった『SPIRITUALIZED D』でも聴くことが出来る。「Splendid, Selfish Woman」も『SPIRITUALIZED D』でリメイクされた彼らの看板ナンバーのひとつ。残り1曲「Zen」のみは本作でしか聴くことが出来ない。本作はアルバム『FAITHFUL』ではまだローカル・バンドだった彼らが"化ける"突破口となった重要な作品としても特筆すべきだろう。
MILLARCAとBERENICEは共にCANDLEMASSタイプのエピック・ドゥーム・メタル・バンドだが、本作においては楽曲・キレぶりでMILLARCAが一歩抜きんでている印象を受ける。特に「Overturn Inside」での吹っ切れたメタルっぷりは爽快なほど。
日本のドゥーム/ストーナー・シーン史の瞬間を切り取って真空パックしたサウンドは3年経った今でも新鮮に感じる。ぼちぼち店頭からも消えかけてきた様子なので、今のうちにゲットしておきたいところ。
アルバムのリリースに伴い、東名阪で4バンドによる『DOOMSDAY RECITATION』ツアーが行われた。
本作リリース以降ETERNAL ELYSIUMとCHURCH OF MISERYは海外レーベルと契約して知名度を上げており、MILLARCAとBERENICEは活動休止。日本のドゥーム/ストーナー・シーンは様変わりしているため、ぜひとも続編を願いたいところだ。

(01/03/14)
★★★★★ ★★★★


MILLARCA / CHURCH OF MISERY
LIVE, BEYOND THE EAST
(1998 / 自主制作 番号なし)
doom/sludge/metal

1998年3月13日、『DOOMSDAY RECITATION』ツアーの大阪公演をライヴ・レコーディング。両バンド共に2曲ずつ収録したのが本作(カセットのみのリリース)。
MILLARCAは「Into The Forest」〜「Overturn Inside」をメドレー形式で収録している。Koutetsu Kimuraはアルバムよりさらにドラマチックに歌い上げており、あまりの大仰さに聴いている方が気恥ずかしくなるほどだ。ある意味凄すぎる。
一方のCHURCH OF MISERYは「Apartment 213 (Jeffrey Dahmer)」「Spahn Ranch (Charles Manson)」を収録。前者の後半にあるインスト部分は『TASTE THE PAIN』収録のスタジオ・テイクよりもラフで激しい。
2バンドともCDより荒々しい演奏を聴かせており、音質うんぬんを超えた迫力がある。収録時間が短いのが残念だが、ぜひ押さえておきたいアイテムだ。
オリジナル(とは言っても市販カセット/コピージャケット)が無理でも、音源を所有している人はけっこういるのでトレードでも何でもして聴いてみて欲しい。

(01/03/14)
★★★★★ ★★★


sHEAVY / CHURCH OF MISERY
BORN TOO LATE
(1998 / Game Two G2-09)
metal/doom

日本のCHURCH OF MISERYとカナダのsHEAVYによるドゥーム対決一本勝負。
CHURCH OF MISERYはチャールズ・マンソン、チャールズ・ホイットマン、ジム・ジョーンズの3人を題材にしたオリジナル曲、そしてSAINT VITUSのカヴァー「War Is Our Destiny」を収録している。
初期BLACK SABBATHへのオマージュ(「All right now, won't you listen」という歌詞の一節にニヤリ)を含む「Spahn Ranch」ではヒッピー・ジェネレーションの崩壊を、「Road To Ruin」では真夏のテキサス・タワーを思わせる気だるいグルーヴ感、「Reverend」では集団自殺直前の混沌をサウンドで体現している(ような気がする。歌詞の題材による先入観もあるのだろうが)。
カヴァー曲「War Is Our Destiny」は彼らとしては珍しいアップテンポのナンバー。さほど極端なアレンジはしていないものの、ボトムエンドがヘヴィなCHURCH色に塗り替えられており、聴いた後に胸にしこりが残る。

一方のsHEAVYは『THE ELECTRIC SLEEP』に収録された「Destiny's Rainbow」の'96年デモ・ヴァージョン、4曲のライヴ・テイク、そしてBLACK SABBATHのカヴァー「War Pigs」を収録。
ニュー・スタジオ・トラック4曲で勝負してきたCHURCH OF MISERYと較べると既発曲のデモやライヴなど"有り物"が多く三文安ではあるものの、演奏のクオリティに関しては文句なし。ライヴ音源はまだ見ぬ彼らの演奏にドキドキ。
「War Pigs」はもはや名曲を超えた聖曲なのでアレンジは変えておらず、イントロのカウントとトチリ(?)を除くと完コピ。カナダのBLACK SABBATHと異名を取る彼らならではの再現をしている。ただ、常々"平成のオジー"と呼ばれるほどのなりきりぶりのスティーヴ・ヘネシーはやはりオジー本人とはけっこう声質が異なるのだなーと実感。
両バンドとも甲乙つけがたい好内容。よってこの勝負、両者の手を挙げたい。
ジャケットはBLACK SABBATH『BORN AGAIN』の転用(あちらも映画『ローズマリーの赤ちゃん』の転用だが)。

(01/03/14)
★★★★★ ★★★


TASTE THE PAIN
(1998 / Bad Acid TRIP4)
doom/sludge/metal

イギリスのファンジン『Bad Acid』(2号のみで休刊)で知られるデイヴ・ゲッヂが設立したレーベルから発表された4曲入りミニアルバム。
本作ではジェフリー・ダーマー、グレアム・ヤング、エド・ゲインを題材にしたナンバーに加え、IRON BUTTERFLYの「In-A-Gadda-Da-Vida」をカヴァーしている。
これまでの作品と較べて一気に音圧がアップ、重低音が胃に来る不快なほどのドゥーム・サウンドを堪能させてくれる。
「Room 213」(「Apartment 213」から改題)後半のインスト・パートも聴く者の不安をかき立てる、いい意味で悪質なプレイ(なんだ?)。
「In-A-Gadda-Da-Vida」はSLAYERもカヴァーしたことで知られているが、CHURCHのヴァージョンはまた異なった重さを持つ好カヴァー。
わずか4曲、26分半の長さの本作だが、聴いているだけで疲労を感じるエクストリーム・ドゥーム・メタルの秀作だ。
『Bad Acid』レーベルは閉鎖したため、本作は廃盤。世の中間違ってるぞ!
ジャケットはAC/DC大ファンのリチャード・ラミレス。

(01/03/14)
★★★★★ ★★★★★


MURDER COMPANY
(1999 / Man's Ruin MR131)
doom/sludge/metal

アメリカの『Man's Ruin』からリリースされた10"。
今回はヘンリー・リー・ルーカスとデヴィッド・バーコウィッツをテーマにしている。
『TASTE THE PAIN』から4ヶ月後、'98年9月のレコーディングということで音楽性はさほど変化ないが、「Murder Company」の悪魔的ブルージー・ギター・ソロ、「Son Of A Gun」のド分厚いリフはとにかく圧巻。
イントロに事件当時のニュース音声などを入れてスタートするスタイルは今回も踏襲されているが、マンネリとは感じさせず、ニュース音声に被さるようにイントロが始まる瞬間は背筋を冷たいものが走る。様式美ではなく"様式醜""様式惨"だ。
IRON MONKEYとのスプリットでCDもリリースされた(Man's Ruin MR132cd)。CDは「Where Evil Dwells (Richard Ramirez)」が追加収録されているのでお得(この曲は上記の『DOOMSDAY RECITATION』にも収録)。
ジャケットはデヴィッド・バーコウィッツとヘンリー・リー・ルーカス。

(01/03/14)
★★★★★ ★★★★


MASTER OF BRUTALITY
(2001 / Southern Lord SUNN010)
doom/sludge/metal

2001年3月現在、おそらくロック史上最もヘヴィなアルバムのひとつ。
おそらく現在世界で最もヘヴィなレーベルであろう『Southern Lord』からリリースされたCHURCH OF MISERY初のフルレンス・アルバムはどこまでもブルータルで、どこまでも邪悪で、どこまでもヘヴィな音で攻めてくる。
新加入シンガーのYoshiaki Negishiは荒いダミ声で吠え、バンドの音にさらなるエッジを持たせている。スタジオ・ステージ両面で強力な個性を発する彼の加入は大きい!
ほぼ同時期にリリースされたWARHORSEの『AS HEAVEN TURNS TO ASH...』も超ヘヴィだったが、そちらの場合静かなパートを加えることでヘヴィな部分をより際だたせる工夫をしていた。だが、本作においてそんな配慮はない。最初から最後までヘヴィ過ぎる圧殺サウンドはストイックなほど。
本作を聴いていると歌詞で歌われている殺人鬼たちは血の通った人間でなくモンスターであるように感じられるが、それは欠点ではなく、彼らが殺人鬼たちを触媒として楽曲をさらなる高みに昇華させているのが分かる。タイトル曲「Master Of Brutality」後半のインスト・パートではバンドがジョン・ウェイン・ゲイシーとジャムっているようにすら聞こえる。
ただ愚直に重い音を追求しているのではなく、「Killfornia」でのフリーキーなノイズ、「Ripping Into Pieces」イントロで当時のニュース音声を途切れ途切れに挿入するなど、バンドの演奏以外の要素が効果的に用いられているのはさすが。
恒例のカヴァー曲もBLUE OYSTER CULT「Cities On Flames」と、ツボ突きまくりの選曲。アレンジも凄まじく重い。
音楽で死ぬにはほぼ理想的なアルバムだ。
インスト「Green River」は迷宮入り事件だから歌詞がないのかとも思ったが、「Zodiac」(コンピレーション『STONE DEAF FOREVER』収録)はヴォーカル入りだし、そういう訳でもないようだ。
ジャケットはジョン・ウェイン・ゲイシー。

(01/03/15)
★★★★★ ★★★★★


ACRIMONY / CHURCH OF MISERY
(タイトル未定)
(2001 / Game Two )
doom/sludge/metal

まだ未発売。
ACRIMONYが'99年5月の解散直前にレコーディングしたデモ、そしてCHURCH OF MISERYの初期音源を収録したスプリットCD。
CHURCH OF MISERYは「Race With The Devil」(GUNのカヴァー)「Chilly Grave」「Cloud Bed」「Kingdom Scum」の4曲を収録している。

(01/--/--)