ACID KING / ALTAMONT



ACID KING
ACID KING 10"
(1994 / Sympathy For The Record Industry SFTRI316)
sludge doom

女性ヴォーカリスト兼ギタリストのロリ・Sが結成したスラッジ・ドゥーム・バンドのデビュー10"。
ズッシリ重いスラッジ・リフが前面に押し出されているが、ロリのヴォーカルはメロディがはっきりしている(それでも声圧があり、迫力満点)ため、さほどコアには感じない。 あまりに王道過ぎてマニアには食い足りないかも知れないが、何度聴いても飽きがこない秀作だ。
ジョーイ・オズボーンのドラムス、ピーター・ルーカスのベースもロリのプレイをヘヴィにバックアップしている。
プロデュースは当時ロリの夫だったMELVINS/ALTAMONTのデイル・クローヴァー、エンジニアはビリー・アンダースン。
10"といっても45回転なので「Lead Paint」「Blasting Cap」「Drop」「The Midway」4曲のみと腹八分目。
これを聴くとつい『ZOROASTER』にも手が伸びずにいられない。

(01/06/02)
★★★★★ ★★★



ACID KING
ZOROASTER
(1995 / Sympathy For The Record Industry SFTRI379)
sludge doom

前作10"と同じラインアップ、ほぼ同じ時期にレコーディングされた初のフルレンス・アルバム。
音楽性も10"と同様ながら、全10曲を一気に聴けることで破壊力はアップ。
ヴォーカル・メロディの効いたスラッジ・ドゥーム・サウンドが輝きを増している。
サタニックなイメージを押し出しているものの、サウンドからは決して「邪悪」なものは感じない。
サンフランシスコのインディーズ『Sympathy For The Record Industry』からのリリース、しかももう6年前のため、最近ではあまり見かけなくなってきた。
新品CDで買う価値ありなので、目に止まったらゲットしておくべし。

(01/06/02)
★★★★★ ★★★★



ACID KING
DOWN WITH THE CROWN
(1997 / Man's Ruin MR073)
sludge doom

『Man's Ruin』からの10"。「Teen Dusthead / Full Reverse」と「Phase II」を収録。
基本的な音楽性の変化はないが、周囲環境が良くなったためか、ライヴらしい生々しさと迫力が増している。 ベーシストがALTAMONTのダン・スミスウィックに交替したこともその要因だろうか。
今回もプロデューサーはビリー・アンダースンとデイル・クローヴァー。
本作とALTAMONTの『DEAD OR ALIVE』がスプリットCDとしてリリースされた。
アートワークが格段に向上した。
赤盤。

(01/06/02)
★★★★★ ★★★★



ALTAMONT
DEAD OR ALIVE
(1997 / Man's Ruin MR072)
sludge doom

MELVINSのドラマー、デイル・クローヴァーがギターとヴォーカルを担当するトリオのデビュー10"。
リズム・セクションは当時の奥方だったロリ・S率いるACID KINGと重複している。
1曲目「Pluto Washington's Introduction」はSLEEP「Jerusalem」イントロを思わせるスラッジ・インスト。全編テンションが落ちることなく、後半ドラムが入って盛り上がるナンバーだ。
ただスラッジ一辺倒ではなく、70年代風ハード・ロックやサザン・ロックも巧みに取り入れており、両極端なサウンドが矛盾なく融合しているのは凄い。ACID KINGと較べても遜色ない内容だ。
本作とACID KINGの『DOWN WITH THE CROWN』がスプリットCDとしてリリースされた。但し本作のクリント・イーストウッド表ジャケはCDには収録されていないのが残念。
赤盤。

(01/06/02)
★★★★★ ★★★★



ACID KING / ALTAMONT
SPLIT RELEASE
(1997 / Man's Ruin MR088)
sludge doom

ACID KING『DOWN WITH THE CROWN』とALTAMONT『DEAD OR ALIVE』をカップリングしたCD。
両10"の全曲が収録されており、さらにACID KINGの「Phase II」はロング・ヴァージョンのため、本CDだけをゲットすれば事足りる。
内容はもちろん最高。

(01/06/02)
★★★★★ ★★★★



ALTAMONT
CIVIL WAR FANTASY
(1998 / Man's Ruin MR085)
desert/southern

ミニ・アルバムに続く初フルレンス作。
10"と較べるとスラッジ感のあるヘヴィ・リフを生かしながらかなりストレートな音楽性に変貌。ブルータルな部分と70年代ロックのラフなグルーヴ感が見事に合体されている。
MELVINSとサウンドこそまるで異なるものの、その充実度は下手すると現在のMELVINSよりも迫力があるかも。
ジミ・ヘンドリックスのカヴァー「Ezy Rider」も独自のカラーに消化されている。
なお初回プレスはジャケットが人種差別的(首吊り台をあしらったもので、タイトルの"南北戦争"と合わせて黒人リンチを連想させる)とクレームを受けたため回収。現行のものに変更された。

(01/06/02)
★★★★★ ★★★★



ACID KING
BUSSE WOODS
(1999 / Man's Ruin MR104CD)
sludge doom

2ndフルレンス・アルバム。おそらく彼らの最高傑作。
ギター・リフがさらにヘヴィでスラッジーになった一方で、ロリのヴォーカルは女性的になっており、両極が絶妙のバランスを生み出している。
元BUZZOV.ENのベーシスト、ブライアン・ヒルが加入したこともヘヴィネスの強化に役立っている。
楽曲も完成度が高く、しかも全6曲すべてが6分〜9分台と長めで、じわじわと彼らの音世界が聴く者の心を蝕んでいく。
もちろんプロデュースはビリー・アンダースン。
聴くべし。

(01/06/02)
★★★★★ ★★★★★



ACID KING / THE MYSTIC KREWE OF CLEARLIGHT
SPLIT CD
(2001 / Man's Ruin MR2001)
sludge doom

ACID KINGの『FREE...』、THE MYSTIC KREWE OF CLEARLIGHTの『THE FATHER, THE SON AND THE HOLY SMOKE』の2作をカップリングしたスプリットCD。
とは言っても前述のACID KING/ALTAMONTのスプリットのように単独リリースされていた10"をまとめたのではなく、最初からカップリングCDで発表された。
ACID KINGの4曲は『BUSSE WOODS』以上にヘヴィでドゥーミーになったものばかり。
全4曲中2曲がインストというのも彼らの新しい魅力が露わになっていて面白い。
なお本作からベーシストとしてギィ・ピナス(THE OBSESSED〜GOATSNAKE〜現『Man's Ruin』の社員)が加入している。
一方のTHE MYSTIC CREWE OF CLEARLIGHTは「Buzzard Hill (My Backyard)」「Veiled」の2曲が収録されている。インスト・グループとして知られている彼らだが、両曲ともSPIRIT CARAVANのスコット"ワイノ"ワインリックが参加、まるで乗っ取ってしまおうとばかりの存在感を見せつけている。
ただバンドもみすみす黙っているわけではなく、激しいグルーヴ・ロックで対抗。相乗効果が迫力を生み出している。「Veiled」後半のジャムも聴きもの。
両バンドともそれぞれ白熱したプレイを聴かせており、かなりズシンと腹にくる。胃袋と心臓の弱い奴は近づくな!

(01/06/02)
★★★★★ ★★★★



ALTAMONT
OUR DARLING
(2001 / Man's Ruin MR2020)
sludgedoom

さらに尾てい骨を突き上げるグルーヴが強化された一方で、実験的な要素も取り入れるようになった2ndフルレンス・アルバム。
70年代ロックやサザン・ロック色も感じられるが、1曲目「Saint Of All Killers」の混沌としたジャムから一筋縄では行かせない凄絶ヘヴィ・グルーヴ・ロックを堪能させてくれる。
アップテンポの「Short Eyes」もド迫力だし、ダイナミックな「Peace Creep」、カオティックなエフェクトが不安をかき立てる「Swami」「Stripey Hole」なども素晴らしい。モーズ・アリスンの「Young Man Blues」(THE WHOで有名)、ジョニー・サンダースの「Pirate Love」カヴァーなど、とにかく全編テンションが高すぎる1枚だ。
極めて10ッに近い9ッ
ラストにシークレット・トラックとしてオルゴールや携帯着信音みたいな音が入っているが、まあお遊び的なもの。

(01/06/02)
★★★★★ ★★★★