THE OBSESSED


THE OBSESSED
(1990 / Hellhound HELL008)
doom metal

ワシントンDC出身のSABBATHフリーク、スコット"ワイノ"ワインリックが'85年にレコーディングしたデモをアルバム化した作品。
本作録音後ワイノがSAINT VITUSに身を投じ、バンドは解散状態となったため未発表になっていたが、'89年にドイツでリミックスを経てリリースされた。
SABBATH直系のドゥーム・サウンドだがアメリカ西海岸ならではの荒っぽさも兼ね備えており、ウェットさは感じさせない。
オジーのヴォーカル、トニー・アイオミのギターから強く影響を受けながらも一人で両者を消化、独自のアイデンティティを築き上げてしまったワイノは偉大だ。
マーク・ローエ(b)、エド・ガリィ(ds)のサポートぶりも見事。
本作のあまりの完成度の高さゆえに、ワイノは『Hellhound』レーベルの薦めもありSAINT VITUSを脱退、THE OBSESSEDを再結成させる。
本作は『Hellhound』閉鎖によって長らく廃盤となっていたが、2000年に『Tolotta Records』によって再発された(Tolotta TOL05)。
この際にリマスタリングが施され、ジャケットが変更、さらに'84年2月にメリーランドのウィートンで行われたライヴ10曲が追加収録されている。
オリジナルのパープル・ジャケットも捨て難いが、内容的には明らかに再発盤の方が数段お得。オリジナル盤を持っている人も買い直す価値あり。

(00/11/01)
★★★★★ ★★★★



LUNAR WOMB
(1992 / アルファALCB668)
doom metal

邦題はジ・オブセッスド『ルーナー・ウーム』。
再結成第1弾ということもあり、尋常ではない気合いの入り方の2ndアルバム。
しばしばBLACK FLAGやMINOR THREATなど西海岸ハードコア勢との関連が語られる彼らだが、本作におけるファスト・ナンバーのテンションの高さは確かにハードコア・フィーリングに満ちている。それでいてSABBATH直系の重低音リフは健在。ミッドテンポ〜スローな曲は大地を揺るがすヘヴィネスを持つ、まさにドゥーム史上屈指の名盤だ。
新生THE OBSESSEDはワイノ以外のメンバーを一新、スコット・リーダー(b;後にKYUSSに加入)、グレッグ・ロジャーズ(ds;後にGOATSNAKEを結成)がプレイしている。
「Brother Blue Steel」はSPIRIT CARAVANのライヴでも演奏されていた。
日本盤はジャケ違い。
2006年4月にMeteorCityからリマスター盤CDが発売された(MeteorCity MCY-038)。実は今回のリイシューがアメリカ初発売となる。
ボーナス・トラックなどはないが、ブックレットに当時のバンド写真が掲載され、またリマスタリングによって音に奥行きが増した印象を受ける。

(99/10/01)
★★★★★ ★★★★★



THE CHURCH WITHIN
(1994 / ソニーSRCS7377)
doom metal

邦題はオブセスト『闇の誘惑』。
ヨーロッパで着実に支持を集めてきた彼らに『Columbia』が手を伸ばし、原盤が『Hellhound』、配給が『Columbia』という変則的な形でリリースされた3rdアルバム。
スコット・リーダーの後任としてギィ・ピナスが加入した。
オープニング「To Protect And To Serve」から激重ヘヴィ・グルーヴで始まり、全体的にミッドテンポで攻めまくっている。
「Streamlined」のような速いナンバーもあるものの、やはり本作のハイライトは「Neatz Brigade」('82年の自主盤7"収録曲の再演)のようなダイナミックなナンバーだろう。ただ「A World Apart」「Decimation」ではハードコア的なアプローチを効果的に取り入れ、曲を盛り上げている。
前作と並ぶ傑作だが、不吉な運命を予感させるドゥーム・サウンドに関していえば本作に軍配が上がる。音質もアップ。
本作は3作の中で最大のヒットを記録するが、メジャーの『Columbia』からすれば微々たる数字だったため、ツアー中に資金援助を打ち切り。
バンドはインディーズの『Bong Load』から7"「Altamont Nation」をリリース後に解散する。
ワイノは現在SPIRIT CARAVAN、ギィとグレッグはGOATSNAKEで活躍中(ギィは'99年秋に脱退)。
「Streetside」はSPIRIT CARAVANのライヴでも演奏されていた。

(99/10/01)
★★★★★ ★★★★★



DOCUMENTARY
(1994 / Sony Music 番号なし)
doom metal

『THE CHURCH WITHIN』リリースにあたって『Sony Music』が作ったドキュメンタリー・ビデオ。
アルバムのレコーディング風景やライヴに加え、前身バンドWARHORSEのライヴ(画質極悪)も収録されているなど超貴重。
ワイノは初期こそWASPのメンバーみたいだが、'94年時点でのゴツゴツと無骨な表情はカッコ良すぎで、レミーを思わせる美学を漂わせている。
さらにリー・ドリアン(CATHEDRAL)、フィル・アンセルモ(PANTERA)、ヘンリー・ロリンズ、デイル・クローヴァー(MELVINS)、J.ユーンガー(WHITE ZOMBIE)、イアン・マッケイ(FUGAZI)らがTHE OBSESSEDを語るフッテージもあり、全27分と短いながら充実の1本だ。
本作は非売品でプロモーション用に配布されたが(日本でも一部が放送された)、'99年『INCARNATE』リリース時に基本的に『Southern Lord』から直接買った人のみオマケとして付いてきた。パッケージや画質を見る限りブートレグではなく、当時の在庫の残りを放出している様子。

(99/07/17)
★★★★★ ★★★



HISTORY OF THE OBSESSED
(1997 / Doom Records DM06/DMCD01)
doom metal

'80年のデモ5曲とライヴ1曲、'82年にTURMOIL名義で録音した5曲からなるCD-R。
悪名高い『Doom Records』からのリリースだ。音質は悪くはないが、"オフィシャル"と呼べるものではない。
前半5曲はドゥーム・プログレ・インストで、ジャズ風のインプロヴィゼーションも聴ける。意外な速弾きもフィーチュアされており、ワイノがアラン・ホールズワースから影響されていると語るのも納得?
後半はヴォーカル入りトラックだが、後に『THE CHURCH WITHIN』に収録される「Decimation」が既に'82年の時点で存在し、'94年に再録音される「Concrete Cancer」も聴くことが出来る。
CD-Rでジャケットは白黒コピーという、70年代の海賊盤と変わらない粗末なアートワークが泣かせる。これで$20取ろうというのだから良い度胸だ。
アナログ盤は作られていない。

(99/10/01)
★★★★★ ★★★



LIVE AT THE WAX MUSEUM
(1997 / Doom Records DM07/DMCD02)
doom metal

'82年7月3日、ワシントンDCのクラブ『Wax Museum』でのライヴ。『Doom Records』がワイノから譲り受けたサウンドボード音源をCD化したものだが、本人が了承しているかは不明だ。
音質はブートレグと考えれば悪くない程度だが、演奏は極上。タイミングがズレて冷や汗をかく箇所もあるものの、バンドが90年代に入ってレコーディングする「Concrete Cancer」「Decrimation」「Neatz Brigade」などもプレイされており、物凄い盛り上がりだ。
いろいろ言われている『Doom Records』だが、本作に限ってはゲットする価値があるだろう。
CD-Rの青白カラーコピージャケは涙が出てくるほどお粗末なので、もしゲットするならばアナログ盤(500枚限定プレス)を。

(99/10/01)
★★★★★ ★★★★



INCARNATE
(1999 / Southern Lord SUNN3)
doom metal

'99年になってリリースされた待望のレアリティーズ・コレクション。GOATSNAKEのグレッグ・アンダースン(g)が主宰する『Southern Lord』レーベルの血と汗と涙の産物だ。
'83年の自主制作盤7"『Sodden Jackal EP』からの全3曲、『Hellhound』レーベルのコンピレーション『WHAT THE HELL!』に収録された全2曲、シングル「To Protect And To Serve」のB面曲、解散直前の7"『ALTAMONT NATION』からの全2曲、MELVINSのデイル・クローヴァーが共演するLYNYRD SKYNYRDのカヴァー「On The Hunt」など、マニア垂涎の曲がずらりと並ぶ。
'91年のデモ・トラック「Spirit Caravan」はワイノが後に結成したSPIRIT CARAVANの『ELUSIVE TRUTH』で再演された。
現在1stのみが再発され、2nd・3rdは廃盤の彼らだが、本作はオリジナル作に匹敵する素晴らしい楽曲が詰まっている。
ドゥーム初心者からコアなファンまで必携!

(01/03/27)
★★★★★ ★★★★