HAWKWIND

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SPACE RITUAL
(1973 / EMI 7243 8 35487 2 9)
space rock

神の業による歴史的名盤。宇宙の中心。
'72年12月にリヴァプールとロンドンで収録された2枚組ライヴ・アルバム。
デイヴ・ブロックとニック・ターナーの二大巨頭を核としながらレミーが激烈ベースをかまし、デル・デットマーとディック・ミックがシンセのオーヴァードーズをぶち混み、サイモン・キングが叩きまくり、ボブ・カルバートが神秘的な朗読を加える。
7人が一丸となって突っ走る中をストリッパーのステイシアが全裸で踊り狂うさまが目に浮かぶ一大ヘヴィ・スペース・トリップだ。
楽曲・演奏ともに、最も完璧に近いストーナー・アルバムのひとつ。聴いて、紙を喰って、天空へと旅立とう。
'96年3月に英『EMI』よりリリースされたリマスター盤はデジパック仕様で、ボーナス曲として同時期のライヴ音源「You Shouldn't Do That」「Master Of The Universe」「Born To Go」が収録されている。
どうせ追加するならアルバム未収録曲にして欲しかった気もするが、本編の凄まじさの前には文句など出てこない。
音質も向上、沸点をはるかに超えたメルトダウン・サウンドを堪能できるため、ぜひこちらを入手して欲しい。
邦題『宇宙の祭典』。

(00/04/27)
★★★★★ ★★★★★


LIVE CHRONICLES
(1985 / Castle Communications CCSCD829)
space rock

SF作家マイケル・ムアコックの小説『エルリック・サーガ』を下敷きにしたアルバム『THE CHRONICLE OF THE BLACK SWORD』に伴うツアーを収録したライヴ盤。
LP二枚組にわたり、アルバムの曲を軸にしながら新曲、「Master Of The Universe」など好演奏を聴かせてくれる。
一部では『SPACE RITUAL』と並ぶ名ライヴ作と評価する声もあるが、それは正直褒めすぎ。楽曲の多くは比較的コンパクトで演奏も手堅くまとめており、70年代前半の狂気は望むべくもない。
「Needle Gun」などはまるでZZ TOPを思わせる駄曲。
ただ後半に進むにつれ畳みかけるような勢いが蘇り、快感となってくるのはさすが。
スタジオ盤には不参加だったムアコックの朗読もこの世のものならぬ雰囲気をかもし出している。
初心者向けではないものの、ある程度ハマっているファンはかなり楽しめる作品だろう。
'98年に再発された英国盤は14曲入りボーナスCDが付けられたお買い得2枚組だが、『LIVE CHRONICLES』本編からも3曲収録。...何故?

(00/04/28)
★★★★★ ★★★


ELECTRIC TEPEE
(1993 / Griffin Music GN0931-2)
space rock

90年代に突入、デイヴ・ブロック、アラン・デイヴィ、リチャード・チャドウィックのトリオ編成になって初のアルバム。もはや何枚目かは不明。
基本的にロック・バンド編成なのだが、その上にかぶさるエフェクトの嵐が強烈。化学調味料いっぱいの、舌がピリピリ痺れるほどのカラフル・サウンドだ。
だいたい1曲目からしてタイトルが「LSD」というのが何というか...。
楽曲的にはロック色が濃く、80年代RUSHを"安く"したようなハード・ロック・ナンバーも。
ただそれらの曲にもスペーシーな効果音が加えられ、めくるめくハレホレのトリップ感を堪能させてくれる。

(00/02/23)
★★★★★ ★★★★


IT IS THE BUSINESS OF THE FUTURE TO BE DANGEROUS
(1993 / Essential! ESSCD196)
space rock

90年代HAWKWINDの最高傑作と言っていい作品。
トリオ編成による2作目のアルバムで、前作『THE ELECTRIC TEPEE』よりもロック色が後退している。
全63分中最初の22分はギターすら無いトランス感漂うサウンド、THE ROLLING STONESの「Gimme Shelter」を脈絡なくカヴァー、しまいに「The Camera That Could Lie」ではレゲエまで飛び出すなど、正直クルクルパーとしか言いようのない内容。
常に進化を続けるHAWKWINDのラリラリ道には感涙にむせぶしかない。必携!
'99年にリマスターされ、デジパック再発された。

(00/02/22)
★★★★★ ★★★★★


THE BUSINESS TRIP - LIVE
(1994 / Emergency Broadcast System EBSSCD111)
space rock

トリオ編成で行われた'93年11月の英国ツアーの模様を収めたライヴ・アルバム。
当時の彼らのライヴ内容を窺うことの出来る内容だが、正直選曲が今いち。
70年代の名曲ばかり演れとは言わないが、オープニングが「Quark Strangeness And Charm」で、後半のハイライトが80年代GENESISばりのプログレ・ポップス「Right To Decide」では正直キツイ。
不自然に挿入された大歓声も何だかなぁ...と気分を盛り下げてくれる。
「LSD」など聴きどころはあるのだが、全体的に低調なライヴ盤だ。
CDは変形デジパック。
アナログ盤のみ「Terra Mystica」収録。

(00/05/02)
★★★★★ ★★


ALIEN 4
(1995 / Emergency Broadcast System EBSCD118)
space rock

前作『IT IS THE BUSINESS〜』の3人組に新人シンガー:ロン・トゥリーが加わった4人編成で作られたアルバム。
宇宙人に拉致される、いわゆるアブダクションという、一歩間違えば陳腐になってしまうテーマを題材にしているが、偉大なるクルクルパーのデイヴ・ブロックが舵を取っているだけあり、一筋縄ではいかない狂気を漂わせる作品に仕上がっている。
『IT IS THE BUSINESS〜』よりロック度が高く、聴きやすいことは確か。
ただスペース感もメーターを振り切るキレっぷりほどで、音の密度は異様なほどに濃い。
ロック的要素と狂気のスペース・トリップのバランスが見事に取れた秀作。
もちろん映画『エイリアン4』とは何ひとつ関係ない。

(00/04/27)
★★★★★ ★★★★


IN YOUR AREA
(1998 / Griffin Music GCD740-2)
space rock

『ALIEN 4』('95)から加入したシンガー、ロン・トゥリーが引き続いて参加した、現時点で最新アルバム。
(もちろん本作以降もよく分からない編集盤は数多くリリースされている)
前半がライヴ、後半がスタジオ録音という内容で、いきなり名曲「Brainstorm」のバリバリハードなライヴ・テイクから始まるが、中盤突如レゲエ調になって腰砕け。さらにスペース・インストやインド風ナンバー(タイトルも「Hippy」...)など、やはり何が何だか分からないカラフルな音世界が繰り広げられる。
デビューから30年、様々な音楽性とメンバーの変遷を経ながらも譫妄スペース・ロックを貫く彼らは偉大だ。

(00/02/23)
★★★★★ ★★★