FU MANCHU


VIRULENCE (pre-FU MANCHU)
IF THIS ISN'T A DREAM...
(1989 /Alchemy 003)
sludge / hardcore

FU MANCHUの前身バンドによる唯一のアルバム。
メンバーはスコット・ヒル(g)、ルーベン・ロマノ(ds)、グレッグ・マッコーイ(b)、ケン・フーチー(vo)というもの。
音楽性は現在のFU MANCHUとはかなり異なっており、BLACK FLAGのハードコア・サウンドとMELVINSのダイナミックなスラッジ・サウンドを合体させたようなサウンドだ。モロに影響が表れているのは若さゆえだろうが、両バンドほどの業の深さは感じられず、やや薄味。ただFU MANCHUのルーツとして重要な作品だろう。
ジャケットにわざわざ「Produced by Mark Senasac」と書かれたステッカーが貼られているが、そんなに重要なことなのだろうか?
LP、CD、カセットがリリースされたとジャケットに記載があるが、現時点ではLPのみ確認。

(00/03/20)
★★★★★ ★★


Kept Between Trees b/w Boullabaisse / Jr.High School Ring (7 Karat)
(1990 /Slap A Ham #6)
sludge

デビュー7"。ハードコア・インディー・レーベル『Slap A Ham』からのリリース。
VIRULENCEからケン・フーチーが脱退、新シンガーにグレン・チヴンズが加入したことによりバンド名をFU MANCHUに改名(フーチーは円満脱退で、初期FU MANCHUのビデオを撮影している)。
サウンドはVIRULENCEの延長線上にあるスラッジーなヘヴィ・ロックで、3曲ともスロー〜ミッドテンポのナンバー。ドロドロ感はないが、今日のFU MANCHUとはかなり異なる音楽性だ。ただ記憶に残るソングライティングの妙味はやや通じるものがあるかも。
プレス枚数が少なく、3曲ともこの7"でしか聴けないため、現在ではマニア垂涎の1枚となっている。見つけたら何が何でもゲット!

(00/03/20)
★★★★★ ★★★


Senioritis b/w Pinbuster / El Don
(1992 /Zuma ZR0071)
desert / heavy rock

ドイツの『Zuma』レーベルからリリースされた2nd7"。
スコット・ヒルがギターとヴォーカルを兼ね、セカンド・ギタリストとしてスコット・ヴォータウが加入した。またマーク・アブシャーがベーシストとして加入。
3曲ともヘヴィ・ロック色が強まり、同期のKYUSSと似たアプローチも聴くことが出来る。スコットの投げやりヴォーカルも独特の味と存在感があり、現在のFU MANCHUサウンドへのスタート地点といえる内容だ。
現在では全3曲、そして同じセッションでレコーディングされ、雑誌オマケ7"に収録されていた「Simco」もアルバム『RETURN TO EARTH 91-93』で聴くことが出来る。

(00/03/20)
★★★★★ ★★★


Pick-Up Summer b/w Vankhana (Rollin' Rooms)
(1992 /Elastic ELS-005)
desert

3枚目の7"。
メンバーは前作と同様だが、本作はスコット・ヒルがソングライターとして単独クレジット。そのためか、「Pick-Up Summer」は現在の彼らの漢デザート路線が表れた曲となっている。まだ現在ほどのカタルシスは感じられないが、ヘヴィでファズの効いたサウンド、ルーズなノリ、スコットの投げやりなヴォーカルと、"FU MANCHUスタイル"がほぼ開花したと言える。
「Vankhana (Rollin' Rooms)」はファズ・ギターのフリークアウト・サウンドをフィーチュアしたロック・ナンバー。
2曲ともアルバム『RETURN TO EARTH 91-93』で聴くことが出来る。

(00/03/20)
★★★★★ ★★★


Don't Bother Knockin' (If This Vans Rockin') b/w Space Sucker
(1993 /Elastic ELS-007)
desert/漢

「Pick-Up Summer」と共に現在の"FU MANCHUスタイル"を確立させた第4弾7"。
スコット・ヴォータウの脱退により、3人編成で録音された。
ヘヴィ・ファズ・サウンド、ルーズなグルーヴ、スコット・ヒルの投げやりヴォーカル、でっかいヴァンを題材にした歌詞と、極上のノリがたまらないミッドテンポ・ナンバーだ。
B面の「Space Sucker」もぶっといグルーヴが快感。
現在ではAB面両方の曲、そして同じセッションで録音された「Ojo Rojo」(『NO ONE RIDES FOR FREE』に収録されたものとは別ミックス)をアルバム『RETURN TO EARTH 91-93』で聴くことが出来る。

(00/03/20)
★★★★★ ★★★★


NO ONE RIDES FOR FREE
(1994 /Bong Load BL10)
desert/漢

リード・ギタリストとしてエディ・グラスが加入、満を持してのデビュー・アルバム。
これまでのシングル曲は収録せず、すべて新曲で勝負している。そっけないイントロの「Time To Fly」から始まり、全体的にルーズなノリのミッドテンポ曲中心だが、初の疾走ナンバー「Show And Shine」が登場。カモメの鳴き声と波音をバックにレイドバックした「Free And Easy (Summer Girls)」という異色曲もあり。
プロデュースは当時KYUSS、後にバンドに加入することになるブラント・ビョーク。
まだ爆走面は開花しきっていないが、FU MANCHU節はたっぷり味わえる秀作。

(00/03/20)
★★★★★ ★★★


DAREDEVIL
(1995 /Bong Load BL19)
desert/漢

前作から一転してガツーン!と勿体をつけたイントロで始まる2ndアルバム。
よりヘヴィに、よりラフになった作品で、迫力が大幅アップ。ただ最初期のスラッジ風のヘヴィネスではなく、70年代ロックに通じるヘヴィさが美味だ。
速いナンバーは特にないが、そんな事に不満を感じさせないドキドキ感に満ちている。
マーク・アブシャーに代わってブラッド・デイヴィスがベーシストとして加入。よりボトム・ヘヴィなサウンドを堪能できる。
「Space Farm」のスペーシーな音はライヴならともかくスタジオ盤だと冗長に感じるが、それ以降のハードなロックンロールとのコントラストが際立っており、欠点を長所に転じているのは見事。エディ・グラスのリード・ギターもバンドの重要な一部となっている。
アルバムのツボとなる派手な曲こそないものの、全編カッコ良すぎ。

(00/03/20)
★★★★★ ★★★★


IN SEARCH OF...
(1996 /ポリスター PSCW-5359)
desert/漢

思いきりファズ・ペダルとアクセルを踏み込んだ3rdアルバム。70年代にあったようでなかった問答無用の漢ロックンロールを確立、彼らのライヴで欠かせない名曲「Asphalt Risin'」をはじめ、楽曲の充実ぶりも凄い1枚だ。
「Redline」や「Solid Hex」のような速い曲と「Neptune's Convoy」のようなスローな曲のコントラストも見事で、理屈を超えてカッコイイ!と溜息吐息。
砂漠でチキンレースを始めようとする2台の自動車をフィーチュアしたジャケットもいかにも、といった感じで素晴らしい。
日本盤CDにはボーナス曲「Chevy Van」(シングル「Asphalt Risin'」のB面)が収録された。
なお『IN SEARCH OF...』というタイトルは超自然現象をテーマとしたテレビ番組(司会はレナード・ニモイ!)から取ったもの。
初めて日本盤がリリースされたが、売上げは900枚程度だったという...。

(00/03/20)
★★★★★ ★★★★★


Asphalt Risin' b/w Chevy Van
(1996 / Mammoth MR0139-7)
desert/漢

『IN SEARCH OF...』からの第1弾シングル。英国『Mammoth』からリリースされた7"だが、プレス数500枚とも1,000枚とも言われる激レア盤である。
ただAB面ともに日本盤CDに収録されているので、無理して大枚叩く必要はなし。
B面のアルバム未収録曲「Chevy Van」は映画『ザ・ヴァン』挿入曲。

(00/03/20)
★★★★★ ★★★


Missing Link b/w Ojo Rojo
(1996 / Mammoth MR0157-7)
desert/漢

英『Mammoth』からの『IN SEARCH OF...』第2弾シングル7"。やはり入手困難だが、レア音源はなし。
A面はアルバムと同テイク。B面は『NO ONE RIDES FOR FREE』収録曲そのまま。
ジャケットの片隅に『KING OF THE ROAD』ジャケと同じ写真を見ることが出来る。

(00/06/07)
★★★★★ ★★★


Godzilla b/w Module Overload / Living Legend
(1997 / Man's Ruin MR048)
desert/漢

BLUE OYSTER CULTの代表曲カヴァーをリーダー・トラックとした10"。
エディ・グラス(g)とルーベン・ロマノ(ds)がバンドを解雇されたため(2人はNEBULAを結成)、ギターをマイク・クーパー=スミス、ドラムスをブラント・ビョーク(元KYUSS)がプレイしている。
「Godzilla」はオリジナルよりさらにディストーションとファズをかましたアレンジで、ずしっと重い。さほど素晴らしいカヴァーとは言い難いが、あれだけの有名曲を自分のものにしているのはさすがだ。
「Module Overload」は『THE ACTION IS GO』欧州/日本盤にも収録されているナンバー。テイク違いかは未確認。
「Living Legend」はやはりスローで重い曲。
レコーディングはデザート・ロックの聖地『Rancho De La Luna』で行われている。
後に全曲がCD『EATIN' DUST』、LP『(GODZILLA'S) EATIN' DUST』に収録された。
グリーン・ヴィニール。

(00/03/20)
★★★★★ ★★★★


THE ACTION IS GO
(1997 / ポリドールPOCP7270)
desert/漢

カリフォルニア砂漠を爆走するホットロッド、反逆するティーンエイジャー、ホットなギャル、無骨な漢(おとこ)ロックンロール!燃えたぎる炎のハード・ロックに魂を焦がせ!
...とクサいことを叫びたくなる爆裂アルバム。
ブラント・ビョークは正式にドラマーとして加入、ギターにはボブ・バルチが加わった新ラインアップによる4thアルバムで、楽曲がよりコンパクトになって無駄のない作風が疾走感を強めている。
1曲目「Evil Eye」、タイトル曲「The Action Is Go」などアルバムの要所で最高にカッコ良いファスト・ナンバーをキメており、徹頭徹尾大盛り上がり大会。
「Saturn III」=『スペース・サタン』、「Laserbl'ast!」=『SFレーザーブラスト』など、スコット・ヒルのSF映画フリークぶりが表れているあたりもニヤリ。
プロデュースは当時WHITE ZOMBIEのJが手がけている。
これを聴いて燃えない奴は男じゃねえ!

(00/03/20)
★★★★★ ★★★★★


FU MANCHU / FATSO JETSON
Jailbreak b/w Blueberries & Chrome
(1998 / Sessions 番号なし)
desert/漢

デザート・ロック3巨頭のうち2バンドが集ったスプリット7"(もう1バンドはもちろんKYUSS)。
FU MANCHUの「Jailbreak」はTHIN LIZZYのカヴァー。さほどヒネリのない、オリジナルに忠実なアレンジだが、思い切り分厚いリフ、スコット・ヒルの投げやりヴォーカルと、FU MANCHU節全開。当初スタジオでお遊び的にレコーディングされたもので、リリースされる予定はなかったそうだが、かなりの好カヴァーだ。
FATSO JETSONの「Blueberries & Chrome」は後に「Swollen Offering」と改題されてアルバム『TOASTED』に収録された、ヘヴィさとカオスが混在した名曲。FU MANCHU加入直前のブラント・ビョークがギターで参加している。
FU MANCHUサイドのジャケットはスコット・ヒルの実家の部屋。ファラ・フォーセットのポスター、フロッガー、『600万ドルの男』プラモ、ミニカーなど、彼の見事なまでのボンクラぶりが窺える。
なお「Jailbreak」は『Sessions Records』のコンピレーション『THE WAY IT SHOULE BE...』にも収録された。下記の『Mammoth』ヴァージョンとは別テイクの本曲がCDで聴けるのが嬉しい。他にはSUPERSUCKERS、DOWNSET、SWERVEDRIVER、GWAR、AFI、GOOD RIDDANCEなどのナンバーが収録されているが、FATSO JETSONの曲は収録されていない。

(00/07/04)
★★★★★ ★★★★


Jailbreak b/w Urethane
(1998 / Mammoth 567750-7)
desert/漢

FATSO JETSONとのスプリット7"で発表されたTHIN LIZZYカヴァーをリミックスした7"シングル(アルバム未収録)。
ベーシックなテイクは同じようだが、イントロのフィードバックが長く、スペーシーなエフェクトが挿入されるなど、いくつか違いが聴かれるので要チェック。
英『Mammoth』からのリリースで、限定盤というつもりはなさそうだが、さほど売れたわけでもないためプレス数は少ない。
「Urethane」は『THE ACTION IS GO』収録と同テイク。
CDシングル(Mammoth 567-68-6-2)には「Coyote Duster」(ライヴ)も収録されている。

(00/03/20)
★★★★★ ★★★★


RETURN TO EARTH 91-93
(1998 /Elastic 014)
desert/漢

初期3枚のシングル「Senioritis」「Pick-Up Summer」「Don't Bother Knockin'」全収録曲に、同時期に録音された「Ojo Rojo」(アルバムと別ミックス)、「Simco」を加えたコンピレーション盤。
それぞれの収録曲については上記を参照のこと。
現在ではややプレミアの付いた7"の音源を一気に聴けるのは嬉しい。1stシングル「Kept Between Trees」の曲が入らなかったのは残念だが、それは贅沢というものか。

(00/03/20)
★★★★★ ★★★


EATIN' DUST
(1999 / Man's Ruin MR157)
desert

『Man's Ruin』からの第2弾シングル10"。わずか2日間で一気に録音・ミックスされた4曲が収録されている。
いずれもツアー中に書かれた曲だが、その勢いに乗った超激烈なナンバーばかりで、ミッドテンポから一気に爆発する「Eatin' Dust」、「Evil Eye」の延長線上にある「Shift Kicker」は大炎上。砂ぼこりを巻き上げ突っ走るモトクロスのジャケが表す通りの爆走ロックンロールだ。
「Mongoose」はキャッチーな佳曲で、正式アルバムに入れなかったのは勿体ない!という気も。
ジャケットは見開きでもなく、黒ビニール盤と、『Man's Ruin』にしては凝ってない印象を受けるのが残念。
なおCDヴァージョン(MR157CD)は二枚の10"『GODZILLA』『EATIN' DUST』をカップリング、ボーナス曲「Pigeon Toe」を加えたもの。この「Pigeon Toe」がさらに爆裂ファスト・ナンバーなので、ぜひCDをゲットすることをお薦めする。
'99年8月にはCDと同内容のアナログ盤『(GODZILLA'S) EATIN' DUST』がリリースされた。

(00/03/20)
★★★★★ ★★★★★


KING OF THE ROAD
(1999 / エイベックス AVCW13004)
desert/漢

超極限までアドレナリン値を高めた激爆凄ロックンロール・アルバム。1曲目「Hell On Wheels」からエネルギー全開。「King Of The Road」「Breathing Fire」「Grasschopper」とタイトルだけでも血が騒ぐナンバーの前ではもはやなすすべもなく首を振り続けるしかない。
バンドによるセルフ・プロデュース、というかプロデュースなんてウザったいことはしていないラフ&タフ一発録りサウンドは『EATIN' DUST』を思わせるが、アルバムとしての一貫性は『THE ACTION IS GO』に通じるものがあり、両作の長所を兼ね備えた傑作だ。
こんなアルバムを聴いたら自殺をする奴なんていなくなる。その代わり勉強する奴もいなくなる。世界総ロックンロール馬鹿化への第一歩がこのアルバムだ!
「No Dice」のコーラス「no shirt, no shoes, no dice」は映画『初体験リッジモント・ハイ』から取ったもの。
ヨーロッパ盤は'99年9月、アメリカ盤・日本盤は2000年1月リリース。ヨーロッパ盤には「Breathing Fire」が、アメリカ盤には「Drive」、日本盤には両者が収録されている。またアメリカ盤は「King Of The Road」「Evil Eye」のビデオクリップを含むエンハンスドCD。

(99/09/10)
★★★★★ ★★★★★



CALIFORNIA CROSSING
(2002 / エイベックス )
desert/漢

2002年1月リリースの最新アルバム。
バンド史上初めて名の通ったプロデューサーを起用。MONSTER MAGNETやSLAYERを手がけたマット・ハイドがプロデュースしている。
そのせいかインスト曲「The Wastoid」、ロックンロールなピアノをフィーチュアした 「Hang On」など新機軸も聴かれるが、根底にある漢ロック魂は不動。「California Crossing」「Downtown In Dogtown」などの血湧き肉踊る爆走ロッカーが彼らの健在ぶりを証明してくれる。
1曲目「Separate Kingdom」はこれまでの「Asphalt Risin'」「Evil Eye」「Hell On Wheels」といった一連のオープニング・ナンバーと較べると地味か?とも思えるが、徐々にステディなビートが快感になってくる。この曲が第1弾シングルとなったのも納得。
全体的にビシッとシメる所はシメながらも、楽しみながらロックンロールしている印象を受けるアルバムだ。
『EATIN' DUST』に収録されていた「Mongoose」のリメイクもアルバムに厚みを与えている。
「Bultaco」にCIRCLE JERKSのキース・モリスがゲスト参加。
ヨーロッパ盤と日本盤にはボーナス・トラック「Planet Of The Ape Hangers」収録予定。
当初はアメリカで2001年10月、日本では12月に発売される予定だったが、アメリカ多発テロ事件のせいで延期に。日本で2002年1月9日、アメリカで1月15日発売となる予定だ。

(01/09/28)
★★★★★ ★★★★