CELESTIAL SEASON



FOREVER SCARLET PASSION
(1993 / Adipocere CDAR015)
death metal / gothic metal

後にオランダ・ストーナー四天王の一角として活躍することになるナイメヘン出身バンドのデビュー・アルバム。
本作当時は音楽性がまるで異なっており、デスメタルに随所にバイオリンやキーボードをフィーチュアしてゴシック風味を加えたサウンドを出していた。
ドロドロ感のない腹八分目のデスメタルは薄味で食い足りないが、それなりに良い。
本作からは「Flowerskin」がシングルカット(7")されたが、B面「Surreal」はアルバム未収録曲。

(00/01/26)
★★★★★ ★★



SOLAR LOVERS
(1995 / Displeased D00038)
gothic metal / doom

ギター片割れとベースが交替、女性バイオリン奏者2人を加えた2ndアルバム。
哀愁ゴシックメタルに転向。ドゥーム色もあり、なかなか聴かせるが、やはりやや薄味。
ただ今になって聴き直すと「Dancing To A Thousand Symphonies」はデス声とバイオリンを取っ払えればストーナーと言えないこともなく、現在の彼らを予見させる箇所もあり。
ULTRAVOXの「Vienna」をカヴァーしているが、デス声で歌っており、正直しんどい。アレンジはオリジナルにかなり忠実なのだが。
「Solar Child」はストーナー転向後にリメイクされた。

(00/01/26)
★★★★★ ★★★



SONIC ORB
(1995 / Displeased D00043)
stoner/doom/psychedelic

シンガーが現在のシリル・クルッツに交替しての4曲入りEP。
突如ストーナー色を前面に押し出し、1曲目「Astral Dub」からブギー風ナンバー。
「Pegasus」もストーナー色が強い。
当時はまだオランダでもストーナー・バンドはBEAVERぐらいしかおらず(しかもレコード・デビュー前)、先見の明があったと言うべきか。
ただ前作でのゴシック色を完全に払拭したわけではなく、二人の女性バイオリン奏者はまだ正式メンバー。「Icarus With You」「King Lizard」では目立ったプレイを聴くことが出来る。
『SOLAR LOVERS』と『ORANGE』の橋渡しとなる過渡期の作品であり、彼らの音楽性変遷を知るためにはぜひ押さえて欲しい1枚だ。
シークレットトラックでワウかけまくりのパッセージが収録されている。

(00/01/26)
★★★★★ ★★★



ORANGE
(1997 / Big Bloke 77.999.02)
stoner/doom/psychedelic

一気にオランダ・ストーナー四天王の一角を担うに至った傑作。
オリジナル・ギタリストのロバート・ルイタースが脱退、ベーシストのオリー・スミットがギターに転向。ドラマーのジェイソン・コーネンがベースに転向している。専任ドラマーがいないため、シンガーのシリル・クルッツがドラムスをプレイした。
前作までのバイオリン奏者は二人とも脱退と、メンバー構成をほぼ一新させての再デビュー作。ロゴも新しいものになり、エキゾチックな姉ちゃん、宇宙人といったオランダ・ストーナー必須アイテムもジャケットに登場した。
70年代ヘヴィ・ロックに激しく傾倒しながらゴシック時代の憂い・ドラマ性が抜け切れていないのもプラスに働いており、無骨なロックンロールがダメという人にもお薦め。
シングルカットされた「Black Queen Is Dynamite」も名曲。
当時のライヴではBEAVERの女性ドラマー、エヴァがプレイすることもあった。

(00/01/26)
★★★★★ ★★★★



Black Queen Is Dynamite / Solar Child 96
(1997 / Big Bloke 77.998.12)
stoner/doom/psychedelic

アルバム『ORANGE』からのシングルカット。2曲入りCDシングルがリリースされた。
A面曲はアルバムでもハイライトのひとつだった、ストーナー感・ダイナミズム・メロディを兼ね備えた名曲。コマーシャルな曲ではないものの、シングルとなったのも納得。
B面曲「Solar Child'96」は『SOLAR LOVERS』収録曲のリメイクだが、ゴシック・メタル・ナンバーだったオリジナルをストーナーに変貌させている。彼らの新路線への意思表明と言えるかも。
A面はアルバムと同テイク、B面はコンピレーション盤『WELCOME TO METEOR CITY』に収録されるなど、本シングルのみでしか聴けないテイクはないが、クレオパトラ・ジョーンズのファイティングポーズ・ジャケがカッコ良い。

(00/01/26)
★★★★★ ★★★



CHROME
(1999 / Rana/HKM RANA42761)
stoner/psychedelic/space/desert

'99年2月リリースのアルバム。『ORANGE』よりさらにストーナーの泥濘に踏み込んだディープな作品で、ある意味前作以上の最高傑作。
オリー(g)、シリル(vo)、ピム・ファン・ザネン(g)に加えジャック・ド・ハールト(b)、ロブ・スナイダース(ds、元KONG)が新加入。オリジナル・メンバーはいなくなってしまった。
サウンドは前作以上にストーナー色が増し、グルーヴ感・スペース感を重視、インスト・パートも強化されている。
ギターサウンドが時にKYUSSのジョシュ・ホームを思わせる箇所もあるが、あまたあるKYUSSクローンとは雲泥の差。
発狂度はSLEEPやELECTRIC WIZARDに及ばないものの、「Trancewagon」「Millenarian Drive」でのストーナー・トリップは極上。さすがオランダ!と思わせるキメまくりのナンバーだ。

(00/01/26)
★★★★★ ★★★★



LUNCHBOX DIALOGUES
(2000 / La Guapa LGR51012)
indie/alternative

デビュー以来デス〜ゴシック〜ストーナーという遍歴を経てきたCELESTIAL SEASONだが、何と本作でインディ/オルタナティヴに転向。BUSHやHEADSWIMを思わせるメランコリックなハード・サウンドはアメリカのカレッジ・ロックっぽく、前作までのストーナー感は希薄。
1曲目「Lonely Man Burning」は前作『CHROME』を引きずっているものの、2曲目以降はかなりドラスティックに音楽性が変わってしまう。
ただ、そんな路線も模倣には終わっておらず、アメリカの一線級バンドと較べても遜色のない曲が揃っている。この変わり身の速さと対応力の強さはデンマークのD.A.D.に通じるものがあるかも。
「All Wrong」ではヴァイオリンがフィーチュアされているが、初期のゴシック・メタル風味とは異なった、アメリカンな憂いを表現しているのが面白い。この曲でプレイしているJiska Ter Balsは『SOLAR LOVERS』でプレイしていたJiskaか?
本サイトで紹介するのは本作が最後となるか...?

(00/08/10)
★★★★★ ★★★



SONGS FROM THE SECOND FLOOR
(2001 / Drunken Maria DMR785-2)
fuzz stoner

前作で脱ストーナーしたと思ったら、1年ぶりとなる4曲入りEPでは再びストーナーの香り漂う音作りに復帰。
1曲目「Room 210」はファジーなリフにメロディアスなヴォーカルが乗るハード・ロック・ナンバー。ストーナー風THIN LIZZYといった感じか?
2曲目「Morning Theft」は『ORANGE』『CHROME』期とも異なったハードなグルーヴ・チューンで、最後のジャムはいつまでも聴いていたいほどの快感。
3曲目「Watching The Fuss」は70年代臭漂うロック・ナンバー。良い。
4曲目は最もストーナー色が濃いヘヴィ・グルーヴ・インスト・チューン。
何となく小器用なイメージが伴う彼らだが、本作はどの曲もキャラが立っており、聴きごたえあり。全20分と短めながら内容濃し。
CDとアナログ盤10"(白盤)がリリースされた。
2002年3月にバンド解散を発表した。

(01/07/21)
★★★★★ ★★★