8~9月発売のお仕事関連

9月12日(日)~20日(日)までタイに行ってきました。今回はサムイ島とバンコク。完全休暇だぜ!

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それとは関係ないけど、独アマゾンから『The Ingrid Steeger Gold Collection』DVD8枚組到着。わーい(^▽^)

アンヴィル/夢を諦めきれない男たち

10月24日(土)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開の映画『アンヴィル/夢を諦めきれない男たち』を見ました。

かつて『METAL ON METAL』をヒットさせたANVILが今では落ちぶれて、でも夢を諦めきれなくて、テレフォンセールスをやったり姉に金を借りたりしてアルバム『THIS IS THIRTEEN』を作って、たまたま聴いた日本のプロモーターがラウドパーク06に呼んで、大観衆の前でプレイ出来て万歳!…という話です。このときの映画がようやく完成、日本公開されるわけですね。

そんなに当時『METAL ON METAL』ってヒットしたっけ?…というのはさておき、リップスとロブの友情が泣けます。

二人が喧嘩になるとプロデューサーのクリス・サンガリーディスが仲裁に入ったりして、プロデューサーというのは人間関係の円滑化も図らねばならず大変な仕事だなーと思わされます。

スーパー・ロック84から始まり、ラウドパーク06で終わるという構成。しかし映画が終わった後もドラマは続き、ラウドパーク09への出演が噂されています(あくまで噂です)。

映画本編で「2,000人収容の会場で5人しか観客がいないのは寂しいものだ」とリップスは語っていますが、もし3つめのステージでSLAYERの裏とかになったら(あくまで憶測です)、本当にそうなってしまう可能性もあって怖いです。

映画の中で出てくる『THIS IS THIRTEEN』は10月21日、ソニーミュージックから日本盤も出るそうです。

映画と同時にANVIL自伝も出ましたが、邦訳は出ないのでしょうか。

映画の最初にレミーとかスラッシュ、ラーズ・ウルリッヒ、トム・アラヤ、スコット・イアン、マルコム・ドームがANVILがいかに凄いバンドだったかを語っていますが、そういえばTHE WILDHEARTSのジンジャーもANVIL好きで、1998年10月25日にインタビューした時、ANVILの話題が出たとき、「Motormount」(『FORGED IN FIRE』収録)を歌い出しました。…なぜ「Motormount」?

この映画で描かれているのはANVILですが、彼らのドラマは幾多のバンドと共通するものだと思います。これからHOUSE OF LORDSとかSHORTINOを聴くときは襟を正して聴こうと思います。

BARONESS: BLUE RECORD

BARONESSのニュー・アルバム『BLUE RECORD』を聴きました。

前作『RED ALBUM』は2007年ベスト・アルバムNo.1でしたが、今回も最高です!

METALLICAかQUEENか?というギター・オーケストレーション・イントロ「Bullhead’s Psalm」から本編に突入。期待しているものとどんどんズレが生じて、まったく異なるキメラになっていくさまに、驚嘆を禁じ得ません。お約束事に安住することなく、かといって完全にレールを外れてしまうわけでもない、そんなスリルが絶妙です。

一種プログレッシヴ・ロック的なアプローチもとっており、そういう意味ではアンダーグラウンド版RUSHといった様相も見せていますが、音楽性はまったく異なります。最近の我が道を往くRUSHとは一線を画して、大惨事スレスレの危険かつ冒険的なサウンドが神経をピリピリさせます。

「Jake Leg」の変幻自在のリフは息を呑むスリルを孕んでいて、その一方で「A Horse Called Golgotha」の歌メロは一緒に歌わずにいられないフックがあります。来日時までに歌詞を覚えておきたいです(来るか知らないけど)。

意外と歌メロは聴きやすかったりしますが、どこに陥穽が口を開いているか判らない、緊張感あふれる傑作です。

US初回限定盤CDにはボーナス・ライヴ・ディスクが付いています。

日本盤はTHE DESCENDENTSのカヴァー「Bikeage」を収録。ちょっとBARONESSらしくない感じ。

そういえばTHE WILDHEARTSの「You Took The Sunshine From New York」を聴いていたら「watching DVDs of the Descendents~♪」という1節があって、人気あるんだなあと思ったら、「watching DVDs of tits and ass~♪」でした。自分のあまりのヒアリング能力の低さに寝込みました。

(⊃ω⊂)ねむ

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アマゾンから「『ガンマー第3号/宇宙大作戦』を買った人は『X線の眼を持つ男』も買っています」という広告メールが来たけど、『X線~』持っているかどうか覚えてないです。何かの抱き合わせボックスに入ってなかったかなあ。

GNAW THEIR TONGUES: ALL THE DREAD MAGNIFICENCE OF PERVERSITY

前にもちょびっとだけ書きましたが、GNAW THEIR TONGUESの新作『ALL THE DREAD MAGNIFICENCE OF PERVERSITY』が凄まじいです。

オランダのMoriesによる一人ハーシュ・ブラック・ノイズ・アンビエント・ドゥーム・プロジェクト。黒く濁り積もった憎悪は内面に籠もることなく、外界に向けて吐瀉されます。『ISSEI SAGAWA EP』などでは吐瀉物は個人レベルに向けられていましたが、この新作ではさらに突き抜けており、吐瀉物に血液と精液も混じって、世界すべてを怨恨の汚海に浸します。CELTIC FROSTがペンデレツキの肛門を犯して、口から吐き出したコレラ血便がエノラ・ゲイによって地上に降り撒かれる感じでしょうか。コーキュートスを大便・膿・胎盤・血尿・精液・痰などと共に、どこまでも流されていきます。聴きとおすことに苦痛を伴うアルバムです。

曲タイトルを並べるだけで、その内容が浮かんでくるでしょう(誤訳上等):

損壊されるのを待つ我が開口部/焼け焦げ、呪われて/へし折れた指が虚しく天を指す/吐息には馬の屍臭、手には存在の汚触/終末を告げる天使/小便の涙を通して凝視した自分/豊潤な深い噛み跡/変態性の不吉な威厳/魂を引き裂いた傷を具現化させるための、精液を呑み込むグノーシス教の儀式/首無き者よ、汝を召喚する/聞こえるのは、草刈り鎌の金属音のみ/縫われた唇からつぶやく呪詛の誓い

SUNN O)))とかにはない”悪”と”醜”の腐臭がぷんぷんします。

全9曲でクライマックスを迎えるCDも醜悪なあまり神々しくすらあり、地べたに跪いて汚泥と屎尿に額を擦りつけたくなりますが、LPはさらに3曲の苦痛を分け与えてくれます。しかも100セット限定木箱入りヴァージョンもあり。高いけど、その価値はあります。僕はこの木箱ヴァージョンを購入するにあたって、同じくGNAW THEIR TONGUESの『REND EACH OTHER LIKE WILD BEASTS…』も欲しかったので追加注文しましたが、そうしたら送料が足りない!と言われ、追加で送料を支払うハメになりました。そうしたら「同じ送料であと1枚買えるぜ!」。言われるままふらふらとTHE AUSTRASIAN GOATの『PIANO & STUMP』を購入してしまいました。真っ暗な部屋で大音量で一気に聴くと内臓を鑿でえぐって、血反吐を吐きながら脱糞して、全身に塗りたくってビルの7階から飛び降りたくなります。

THE VENTURES @中野サンプラザ

結成50周年。テケテケテケテケ

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バルコニーから見下ろすと、

知っている曲たくさん、聴いたことあるけどタイトル判らない曲いくつか、知らない曲いくつか演りました。最新アルバムらしい『ベンチャーズ・プレイ・加山雄三』からの曲も2曲か3曲ぐらい。

そういえば彼らに1997年にインタビューしたことがあります。彼らから見た戦後日本史みたいなのを語ってもらいました。

しかしジェリー・マギーは最初に加入したのが1968年なのに、未だに新人扱いされているのが気の毒です。ロン・ウッドやヴィヴィアン・キャンベルもそうですが。

リミッツ・オブ・コントロール 【軽度のネタバレ】

ジム・ジャームッシュ監督の最新作『リミッツ・オブ・コントロール』を見てきました。

9月19日(土) シネマライズ、シネカノン有楽町2丁目、新宿バルト9、シネ・リーブル池袋、吉祥寺バウスシアター 他にて全国ロードショー   だそうです。

ジャームッシュというとヴィム・ヴェンダースと共に、悪しき単館系サブカル馬鹿をたくさん育てた張本人という嫌な印象があります。もちろん本人は良い映画を作ろうとしているわけで、悪いのはファンの方なのですが。でも本当に悪いのは単館系映画というと『クイーンコング』が最初に頭に浮かぶ僕なのかも知れません。しかし、ジャームッシュ映画にはいろんなミュージシャンが出てくるわりには、『クイーンコング』主題歌以上に記憶に残るテーマソングはありません。

ジャームッシュ映画は全然見ていないと思っていたら、『イヤー・オブ・ザ・ホース』『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『ミステリー・トレイン』『デッドマン』と、4本も見ていました。えっへん。しかしいずれもストーリーは全然記憶に残っておらず、『ミステリー・トレイン』はスクリーミング・ジェイ・ホーキンスとジョー・ストラマーと黒乳首しか覚えていません。エルヴィスに関係あったようななかったような。あと『ナイト・オン・ザ・プラネット』と『ナイト・オブ・ザ・コメット』が同じ映画だと思っていたのは内緒です。

とまあジャームッシュには屁の思い入れもないわけですが、今回はBorisの音楽が全面的に使われているということで、見ないわけにはいきますまい。というわけで、試写状を恵んでもらってのそのそと行ってきたのでした。有り難うございます。

唇の分厚い黒人(趣味:気功)がある任務を与えられて、2杯のエスプレッソを飲みながらカフェにいると、伝令がやってきて、いろんなメッセージをマッチ箱に入れて渡してきます。で、ついでに「ところで音楽って好き?」とか「ところで映画って好き?」とか雑談をしていきます。工藤夕貴もそんな伝令の一人として出てきます。黒乳首は出しません。「ところで分子って好き?」とか訊きます。あとジョン・ハートも伝令の一人です。ジョン・ハートというと『エイリアン』で最初に死んだのとエレファントマンだったので、僕の中では名優ということになっているのですが、世間的にはどうなのでしょうか?ちなみに僕の中ではマイケル・ヨークも『三銃士』『オリエント急行殺人事件』『2300年未来への旅』『ドクター・モローの島』に出ていたので名優です。

それでBorisの音楽が全編使われまくりです。唇の分厚い黒人はスペインにいて、カフェで伝令からマッチ箱を受け取る以外することもないので、毎日ソフィア王妃美術館に行ったりしますが、食い入るようにアントニオ・ロペス・ガルシアの絵を見る彼の鼻の穴どアップに重低音ギター・ノイズがズズーンと重なって大迫力です。で、ホテルに戻ると全裸のメガネっ娘がいて、「ところで私の尻って好き?」と訊ねます。唇の分厚い黒人は見ようによってはデューク東郷に似ていますが(白ブリーフ愛用という点も共通)、「仕事中はセックスしない」というポリシーがあるのでヤリません。

唇の分厚い黒人の任務は「自分を偉いと思い込んでいる男を墓地に送りこむ」というもので、ギャングのボスを暗殺するのかな、と最初は思わせますが、あまりに何度も何度も何度も伝令とマッチ箱交換をして、マドリッドから電車に乗って何箇所も地方都市を回るので、まさかそんな単純な任務なわけもないし、一体どんな任務なのだろう?と期待させます。そうしたらなんと、ギャングのボスを暗殺するという任務だったのでした!『ブラック・レイン』のヤクザの親分宅みたいに、田舎のえらく見晴らしのいい所に敵のアジトがあります。

で、アジトの近所の田舎町が、モロにマカロニ・ウェスタン映画に出てきそうな感じでした。みなさんご存じのとおりマカロニ映画はイタリア資本だけどスペインでロケしていることがけっこうあって、かつてのロケ地をわざわざ回っているガリンゴさんのような凄い人もいるわけですが、その町で唇の分厚い黒人に接触してくる伝令のコードネームが”メキシカン”だったり、確実に狙っていますよね。で、その町の駅に降り立つシーンで流れるのがEARTHの「Omens And Portraits 1: The Driver」。マカロニに出てくる、ありそうでどこにもないアメリカーナといえばニール・ヤングが手がけた『デッドマン』スコアもそうですが、EARTH『HEX: OR PRINTING IN THE INFERNAL METHOD』が出たときに比較する人もいた記憶があります。

余談ですが今年4月、来日したISISのアーロン・ターナーに「最近ゲットしたレア盤は?」と訊いたら、「『デッドマン』サントラのアナログ盤!」と答えていました。アルバムが出た1996年というとアナログが絶滅の危機に瀕していた時期なので、あまり出回らなかったそうです。

Boris(with SUNN O)))とかwith栗原ミチオとかも含め)の音楽はいずれも既発音源が使われており、サントラ盤CDにはそれを独自エディットしたものが収録されています。これだけ大々的にフィーチュアされたことにより(エンド・タイトルではMusic by Borisとバッチリでかくクレジットされています)、Borisオシャレ化計画が大きく前進したといえるでしょう。とはいっても、同じジャームッシュの『ブロークン・フラワーズ』(見てない)で「Dopesmoker」、やはり単館系サブカル御用達のハーモニー・コリンの『ガンモ』で「Dragonaut」が使われたSLEEPがちっともオシャレになっていないので、Borisもあまりオシャレにならないかも知れません。

そういえばハーモニー・コリンの2007年の『ミスター・ロンリー』はマイケル・ジャクソンそっくりさんネタの映画ということで、再評価されるかも知れませんね。

『リミッツ・オブ・コントロール』に話を戻すと、エンディング・クレジットのspecial thanksでTadashi HamadaとGreg Andersonが出てくるのも注目です。

どうでもいい話ですが、最初のシーンで唇の厚い黒人が便所で気功をやっているとバックでピロピロピョーンという音が流れますが、おそらくヨーロッパ圏内の空港にいくつか行ったことがある人は、フランスの空港(たぶんド・ゴール空港)なのだと判ると思います。うちの兄は「『超神ビビューン』で似た音が使われている」と言っていました。

あっ、さらにどうでもいい話ですが、このブログの存在が兄夫婦にバレていたことが判明。こういうのって家族にバレるのが一番ヤですよね。卍うんこうんこ卍

というわけで、面白かったですよ。

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で、『デッドマン』DVDが1,109円で再発されます。これはさすがに安い!

ニール・ヤングのやっつけ即興演奏サントラを聴くためだけでも買う価値はありますよ。

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オジー・オズボーンの1982年4月28日メンフィスと12月19日グラスゴーの音源はどちらも音質も演奏も良いですね。