ビニール・ジャンキーズ

ブレット・ミラノ著『ビニール・ジャンキーズ』の邦訳が河出書房新社から出ました。

ずいぶん前に原書を買ったのに読んでなかったのですが、日本語版をぺらぺら立ち読みしたら面白そうだったので、年末年始に暇を見て読んでみました(せっかく買ったので原書のほう)。

ロバート・クラムが黒人住宅街の家を一軒一軒たずねて「78回転のSPレコードがあったら売ってください」と回ったエピソードや、ビーヴァス・フロンドのニック・サロマンが値段が高騰する以前のヴァーティゴ盤を買いあさってセドった話、サーストン・ムーアやピーター・バックのオタねた、コレクターの精神分析(蒐集癖はセロトニン分泌不足という説もあり)まで、レコード・コレクターの業の深さを面白おかしく、それでいてかなり正確に記した本で、全編楽しく読めました。

ただ、ひとつ???と思った箇所が。

ニック・サロマン(本書ではずっとサラモンと書かれている)がマッド・リヴァーのアルバムをなんと4枚所有している!と、とてつもなく奇異なことのように書かれていますが、その内訳が

  • オリジナル盤LP(盤質悪し)
  • オリジナル盤LP(盤質良し)
  • CD(スピード正しい)
  • CD(スピード速し)

というもので、そんなの普通でしょ…?と思いました。

ちょっとした音楽ファンだったら同じ内容のCD&LPを4枚持っているのはおかしくも何ともありませんよね。

ところで、文中でピーター・バックがこう発言しています。

「ジューダス・プリーストの最初の4枚のアルバムのボーナス・トラック入りCDがあるけど、欲しければあげるよ。(サンプル盤だから)売れないけど、家に置いておきたくないからね」

2枚目以降は最高じゃん!という意見はさておいて、”最初の4枚”という括りは、

Gullからの2枚とCBSからの2枚を指しているのでしょうか?

それともCBSからのリマスター再発第一弾4作?

そんな想像をめぐらすことが出来る所を含めて、面白い本でしたよ。

日本でもディスクユニオン廃盤セールに徹夜で並ぶ人たちとか、ヤフオク転売ヤーとかについての本を出してもらいたいです。

さらにもうひとつ。

ベイカールーのアルバムについてちょびっと言及されていますが、何故か前身バンドのベイカールー・ブルース・ラインと表記されていました。

著者のミラノはボストン在住だそうです。

ボストンといえば二度行ったことがありますが、Newbury Comics他けっこう中古盤屋が充実していて、レコード・コレクター向きの都市でした。

ハーヴァード大学、マサチューセッツ工科大学、ボストン大学など、大学都市ということもあるのでしょうね。

豪雪の中、気合いで回ったことがあります。

そのわりにビリー・アイドル『サイバーバンク』フロッピー付きCDとかWax Traxもの12″多数とかザ・フー関連雑誌/新聞記事をリストアップした本とか、あんまり大したものは買わなかった記憶が。

でも当時はまだ音楽知識も今よりずっと乏しかったので、またレコード狩りに行ってみたいです。