切り裂きジャックの謎

先週、切り裂きジャックに殺された売春婦キャサリン・エドウズが殺された際に持っていたショールからDNAを鑑定して、犯人がアーロン・コズミンスキーと判明! …という報道がされました。

後に警視総監補佐となるメルヴィル・マクノートン卿が本部長時代の1894年に残したメモで“モンタギュー・ジョン・ドルイット、コズミンスキー、マイケル・オストログ”の3人の容疑者が名指しにされて、後世の研究者たちにとってドルイットは最有力候補とされてきたわけです。 一方、他の2人は存在すら疑問視されていましたが、1987年にコズミンスキー、1994年にオストログが実在したことが確認されました。 とはいっても彼らが泡沫容疑者であることは変わりがなかったので、突如コズミンスキーが“真犯人!”というのはビックリだったわけです。

今回、決め手となったのは4番目の犠牲者キャサリン・エドウズの死体の側にあったショールを警官が嫁さんへのプレゼントとして持って帰って、そのショールに付いていた血液と精液のDNAがコズミンスキーとエドウズの肉親者の子孫のDNAとマッチしたことだそうです。

殺人現場の重要な証拠品(しかも血液&精液付き)を勝手に家に持ち帰って嫁さんにプレゼントするというのは如何なものかと思うし、それを洗わずに120年以上取っておくのもあまり考えられない気がします。 とはいえ、ちょっと前までそんな奴いねーよ扱いだったコズミンスキーの姉妹の子孫、それからエドウズの子孫を見つけ出したのはすごい発見ではあります。

なお、ショールに精液が付着していた件ですが、エドウズは1888年9月30日の午前1時35分に生きているのが目撃されていて、45分に死体が発見されているので、10分のあいだに殺して内臓を出して顔面にも切りつけてさらに射精までしたことになります。まあ不可能ではないにしても、かなり難易度が高いのではないでしょうか。

ただ、同日0時45分ぐらいに3人目のエリザベス・ストライドを殺して既にビンビンの状態で、それから間を置かずエドウズを殺したので、すぐに出てしまった可能性もあります。

今回のDNA鑑定がどの程度正確なのかは判りませんが、もちろんコズミンスキーの精液である可能性はあります。ただ、だからといって彼が犯人とは限らないのであって、エドウズの顧客だったせいでマクノートン卿のメモに載るほどの容疑者になったのかも知れません。 被害者とヤったことがあって精液を残していったからといって犯人とは限らないというのは、東電OL殺人事件でもご存じのとおりです。

ちなみに犯行現場の散歩ツアーの案内人をやっているドナルド・ランベロウ(『The Complete Jack The Ripper』の著者)は「当時の警察の遺留品リストにショールなんて載ってない」と語っていますが、もしかしたらその前に警官がネコババして嫁さんのところに持って行ったのかも。

正直、今回の“発見”で切り裂きジャックの正体が判明したわけではないと思いますが、Russell Edwardsの『Naming Jack The Ripper』は一応読んでおくつもりです。

余談ですが、ロバート・フリップのご先祖とモンタギュー・ジョン・ドルイットはドーセット州ウィンボーンの同郷だそうです。

あと、切り裂きジャックの2番目の殺人、アニー・チャップマンが殺された29 Hanbury Streetは、レコード屋『Rough Trade East』から歩いて30秒ほどです。

ところで『フロム・ヘル』はわざと突拍子もなくてウソ臭い説を元ネタにしているので信じないように。まんがも映画も面白かったけど。

投稿者:

yamazaki666

凸(--)凸(--)凸(--)凸(--) 玄関:http://yamazaki666.com twitter:http://twitter.com/yamazaki666 facebook : http://www.facebook.com/yamazaki666

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください