SUNN O))): MONOLITHS & DIMENSIONS

日本盤CD、本日発売。

初めてこのアルバムを聴いたのは、4月6日のことでした。音源のネット流出を防止するためにサンプル音源を一切配布しないという方針(最近大物アーティストだとけっこう多い)のため、ディスクユニオン本社での試聴会。

簡単な説明を受けて、CDがプレイヤーにセットされて、1曲目「Aghartha」のイントロがズズンと鳴ったとき「…来たッ!」と身構えて轟音ドローンの襲来に備えました。このまま黙示録の刻までそれが続くのかと思いきや3分台から高いヒスが混入、5分台にアッティラ・チハーの語りが入り、8分を過ぎたあたりでリゲティ風?のストリングスの不穏なざわめきが入ったあたりから大海へと雪崩れ込む飽和点へと向かっていきます。曲が終わる時点でかなり精神的にいっぱいいっぱいになっており、ラストでアッティラが吐き出す息が自分のものとシンクロします。

で、2曲目「Big Church」のイントロ。予備知識なしで聴いたため、あまりの驚愕に自分の足下が揺らぎました(あえてネタバレせず)。そして、そんな心の隙を狙って、重爆ドローンがのしかかってきます。初めて聴いたときはそのまま濁流に押し流されて最後まで行ってしまいましたが、2度、3度と聴くうちに、女性コーラスやブラス、ストリングスなどを導入して”楽曲”の枠組みを明確にしながらもそれを制約とせず、さらに音の地平線を広げていくことに貢献させていることに、”音楽家”SUNN O)))の凄みを実感させられました。

3曲目「Hunting & Gathering (Cydonia)」はスティーヴ・ムーアのトロンボーン・サウンドとディストーション・ギターが織りなすビッグなサウンドがグレッグ・アンダーソンのASCENDを連想させます。火星のシドニア地方を描写した歌詞も「Dark Matter」を思わせたりも。

4曲目でラストの「Alice」はSUNN O)))としては異例の静かな曲調で始まる映画スコア風の曲ですが、それゆえに6分台に入ってくるギター・ノイズが映えます。そしてハープなどをフィーチュアしつつ、余韻を残しながら終わります。

その後SUNN O)))の初心ツアーを挟みながら既に何十回かアルバムを聴いているわけですが、『THE GRIMMROBE DEMOS』のシンプルさと対極にある、SUNN O)))史上最も”構築された””作曲された”作品でありながら、両作品とも結局maximum volume yields maximum resultsという同じベクトルに向かっていることに気づきます。

とかくライヴが大音量だということが取り沙汰される彼らですが(自分もそれを煽った部分がありますが)、音楽家としての真価が発揮されたアルバムだと思います。もちろんSUNN O)))のファンとしては、ズズーンという音が延々と続くという”聴きづらさ”が魅力のひとつであり、取っつきの良い”聴きやすさ”に微妙な違和感をおぼえることも事実ですが、以前書いた「轟音うんぬんを超えて、21世紀において最も重要な音楽作品に近いアルバムのひとつである」という思いは変わりません。

日本盤CDは紙ジャケ仕様で、ヴェラム紙の全面オビ付です。US盤CDがアマゾンで今日時点で1,711円で、定価2,730円の日本盤CDと1,000円も違うため、輸入盤に手が伸びる人も少なくなさそうなのですが、日本盤がたくさん売れるときっとまた日本に来てくれます。『MONOLITHS & DIMENSIONS』ツアーはアッティラとスティーヴ・ムーアも参加するというし、ぜひまた日本で見たいので、先行投資だと思って日本盤を購入していただけると嬉しいです。

投稿者:

yamazaki666

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